国民の半数以上が反対する中、衆参両院で強行採決を繰り返した安全保障関連法が成立した。

 民意無視、国会軽視、立憲主義を軽んじる愚行というほかない。

 政府は聞こえないふりを決め込んでいるようだが、憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を認める法案に対し、国会の外では「憲法守れ」「戦争するな」の声が鳴り響いている。

 安保法制をめぐる混乱の中ではっきりと見えたのは、「安倍1強」に染まる政権の危うさと、芽生え始めた新たな民主主義だ。

 「3連休を挟めば忘れるだなんて国民をバカにしないでください。むしろそこからまた始まっていく。もう止まらない」

 法案に反対する大学生らのグループ「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基さんは、15日に開かれた参院特別委員会の中央公聴会で語った。国民の声に耳を傾けようとしない政権への痛烈な批判であり、声を上げることを止めないという決意である。

 特定の政党を支持せず、LINE(ライン)などでつながる若者たちの抗議活動は、国会前から地方へと広がり、沖縄では「SEALDs RYUKYU(シールズ琉球)」が結成された。

 立憲主義に基づいた政治を求め、「憲法守らぬ総理は要らない」などと呼び掛けてきたシールズの最近のコールは「賛成議員を落選させよう」だ。

 諦めることも、落胆することもない。民意を示す方法はまだある。

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 戦後日本が平和国家として歩んできた道を踏み外すのではと危機感を抱いているのは、子どもを持つ母親たちも同様だ。

 女性たちは「誰の子どもも殺させない」を合言葉に、「安保関連法案に反対するママの会」を立ち上げ、子連れで活動を繰り広げている。

 母親たちの主張に共通するのは「戦争への不安」である。いくら政権が徴兵制はあり得ないと否定しても、憲法解釈を勝手に変える強引なやり方を前に、不安は払拭(ふっしょく)できない。

 17日、県庁前であった「安保関連法案に反対するママの会@沖縄」の集会で「私は諦めない。子どもの未来を守るために声を上げ続ける」と話す女性がいた。

 権力に対する沈黙を破って声を上げ始めた母親たちの言葉から逆に浮かび上がるのは政治の暴走だ。

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 安保法制をめぐっては、普段は政治的な活動から距離を置く芸能人が、テレビ番組やツイッターでメッセージを発信する動きも目立っている。議論の広がりは「政治家だけに任せられない」という空気の広がりでもある。

 法が成立したから終わりではない。

 立憲主義をないがしろにし、国民への説明責任を果たそうとしない政府に反対の意思を示し続けることで、世論と乖離(かいり)した政策の再考を迫っていく必要がある。

 一人一人の声が政権に対抗する力となる。