翁長雄志知事はスイス・ジュネーブで開かれる国連人権理事会で演説するため、那覇空港を出発した。

支持者からの激励を受け国連人権理事会へ出発する翁長雄志知事(右)=19日午前、那覇空港

 「自由、平等、人権、民主主義が保障されていない」ということを含め、沖縄に米軍基地が一極集中する理不尽さと、辺野古新基地建設に反対している沖縄の正当性を訴えるためだ。

 那覇空港には「翁長知事がんばれ」の横断幕を掲げた支持者らが駆け付けた。翁長知事は「日本の民主主義の熟度、日米安保体制の品格という観点から発信すれば世界中が注目し、必ずご理解いただける。自信を持って話していきたい」と決意を語った。

 前知事が行った辺野古埋め立ての承認取り消し表明の直後である。国際世論を喚起する機会にしてほしい。

 演説は21日午後(日本時間同深夜)に予定されている。国連人権理事会は国連の主要機関で人権侵害を防止し、勧告などで人権政策を指導する。情報収集と討議の場を国の代表だけでなく非政府組織(NGO)にも提供しており、翁長知事は日本のNGOから発言枠を譲られた。

 演説は英語で約2分間。効果を最大化するため、県は演説を多言語に翻訳して発信する工夫が必要だ。

 翁長知事は「島ぐるみ会議」が主催するシンポジウムでも基調講演する。沖縄の歴史体験を踏まえ、日本政府が沖縄の民意を一顧だにせず辺野古新基地建設を強行していることを効果的に訴えてもらいたい。海外メディア向けの記者会見でも世界へ発信する。

 国連や各国の人権担当者、NGOらに積極的にロビー活動をし、沖縄の「味方」を増やしていきたいものだ。

    ■    ■

 県議会に相当する復帰前の琉球立法院が国際社会に訴えたことがある。1962年2月1日、「施政権返還に関する要請」を採択した。「2・1決議」である。60年に国連総会で採択された「植民地独立付与宣言」を引用し、国連全加盟国に送付された。

 あれから50年以上がたつ。沖縄の「軍事植民地」は何も変わっていない。いまなお国際社会に訴えなければならないことが証明している。

 歴代知事の訪米要請で米国は基地問題は日本の国内問題と言い、日本政府は米国が嫌だと言っていると説明する。米軍は基地使用者であり、当事者である。一方で日本政府は米軍に基地の自由使用を許し、実際は米軍を引き留め沖縄に基地を押し込めている。「構造的沖縄差別」である。

 沖縄の人権、地方自治、自己決定権を日米両政府が侵害していると言うほかない。

    ■    ■

 菅義偉官房長官は会見で「人権問題の場で辺野古移設は、なかなか理解されないだろう」と知事の国連演説に否定的な見解を示した。

 新基地建設に向けて強権的に作業を強行しているのは一体誰なのか。米軍基地から派生する大きな問題が人権侵害であるのは言うまでもない。

 国連演説は辺野古建設阻止のためのあらゆる手段の一つだ。海と陸で持続する辺野古新基地反対運動が示すように「勝つ方法はあきらめないこと」なのである。