東京音楽大学付属民族音楽研究所に保管されている三線1丁が江戸時代中期、琉球王府の使節団が「江戸上り」(1634~1850年)で幕府に献上した三線と同形であることが29日までに分かった。三線を確認した明清楽楽器修理・製作者の稲見惠七さんは「献上された三線そのものである可能性もある」として調査や研究に期待している。

胴の部分にべっ甲の帯の装飾がなされた三線=東京音大付属民族音楽研究所

 保管されている三線は映画「ゴジラ」の音楽で知られる作曲家で同大元学長の伊福部昭さん(1914~2006年)がコレクションとして所蔵していた。

 同大関係者によると、中国の明や清の時代の楽器を収集していた伊福部さんが終戦後まもなく、京都の古美術店で入手。三線は伊福部さんの作曲活動でも用いられたという。

 三線は全長約78センチで胴の部分は厚さ約8センチ。蛇皮にべっ甲の帯が巻かれ、帯の両端はクジラのひげで縁取られている。ピン留めには象牙を使用。べっ甲には竜が描かれており、稲見さんによると、琉球使節より献上されたとされる、徳川美術館(名古屋市)所蔵の三線と同じ型だという。

 10月に同研究所でこの三線を手にした県立芸大名誉教授の喜瀬慎仁さんは「チラ(棹の先の部分)の湾曲が緩やかな『南風原型』に似ていた。(江戸上りで使われた)現物だと確証付けるには、今後科学的な調査が必要だ」と強調する。

 稲見さんは「知る人ぞ知る存在だった三線がようやく日の目を見た。まだ未確定な部分を今後、明らかにしていきたい」と話した。