歌謡曲というジャンルは昭和の特殊な現象だった。作家・作詞家の、なかにし礼さんは著書「歌謡曲から『昭和』を読む」の中で、そんな持論を展開している

▼レコードとラジオの相乗効果で全国津々浦々で流行歌が歌われるようになったのが昭和初期。戦後はテレビの普及も加わって街中に流行歌が溢(あふ)れていた。聴くつもりはないのに自然に耳に入ってきた曲が幅広い世代の口に上り、全国的に人気が出る

▼そんな仕組みはインターネットの普及で過去のものになった。今は若い世代を中心にスマートフォンなどで好みの音楽を聴くスタイルが主流。世代を超え支持されるヒット曲が生まれにくいのは当然のことだろう

▼だが年末年始は個々人で聴いていた音楽を家族が集まって聴く機会も増える。昨日のレコード大賞に続き、今夜は紅白歌合戦が放送される

▼注目は来年引退する安室奈美恵さんの出演。個人的にはデビュー当時、社会への違和感を鮮烈な歌詞にぶつけていたエレファントカシマシの初出場が楽しみ。小学生の娘やその同級生が韓国語の歌詞まで覚えてしまった韓国発の女性アイドルグループ・トゥワイスなど新鮮な顔ぶれも

▼歌は世につれ世は歌につれ。時代を映し出す新しい歌とも出会えそう。今日は大みそか。2018年、みんなが歌を口ずさめる平和な年になりますように。(玉城淳)