【沖縄】祖父母の思い出の品を身近に感じられるようにと、沖縄市上地出身の市川スミエさん(51)=東京都=が琉球人形作家の座間味末子さん(67)に制作を依頼していた人形がこのほど完成した。人形は祖父母の形見の着物から作られた衣装をまとい、祖父母をモチーフにした老夫婦が仲良く寄り添っている。17日、スミエさんの母親の金城初子さん(74)=市登川=が引き取りに訪れ「娘にいいものを残せることができた」と喜んだ。(仲田佳史)

市川スミエさんの祖父母の着物を着せた人形の完成を喜ぶ母親の金城初子さん(中央)、友人の山内利江子さん(左)、人形作家の座間味末子さん(右)と夫の力さん(後列)=17日、沖縄市松本

 2年前、スミエさんは母親の初子さんから祖父の睦浦(ぼくほ)さん・祖母のマカトさんの形見の着物を譲り受けた。ずっとたんすの中にしまっていたが、以前、座間味さんが制作した琉球人形を観賞したのを思い出し「着物を人形の衣装に仕立てて身近に置きたい」と制作を依頼した。

 マカトさんの着物は芭蕉布で100年以上前に織られたものという。初子さんによると、スミエさんの出産祝いの時に着けていた一張羅で「2、3回しか着けているのを見たことがない」という貴重品だ。

 人形は三線を弾く夫のそばで、妻がうちわを手にほほえんでいる。人形の髪の毛は、夫はスミエさんのを、妻は初子さんのを使っている。祖父母の着物の袖を解いて作られた人形の着物と、初子さん、スミエさん親子の髪の毛を人形に使うことで4人のつながりを感じられるようにした。

 座間味さんは作品に「ちゅら風」と名付け「和やかな、幸せのそよ風が流れているのを表現した」と話す。作品を見た初子さんは「本当によく助けられた」とマカトさんと暮らした当時に思いをはせ、何度もハンカチで涙をぬぐった。

 初子さんと引き取りに訪れたスミエさんの友人、山内利江子さん(51)=北中城村=は「スミエさんはよくマカトさんと過ごしていた。人形ができ、東京で祖父母のことをいつも感じられる」と喜んだ。

 人形は当面、初子さん宅に置かれ、親戚に披露される予定だ。スミエさんは「小学校4年生ぐらいまで祖父母に育てられてきた。ありがとうという気持ちで人形を飾りたい」と話した。