全国の中でも新規起業数が多い沖縄。人口と観光客の増加による市場拡大や好景気を背景に、新設法人の数は過去最多を更新し続けている。最先端の技術や、これまでにない発想で意欲的に市場開拓を目指すベンチャー企業も次々と登場。新産業創造も期待され、行政や金融機関も支援体制の構築を進める。日本とアジアの中心にある地理的特性から、飛躍のチャンスと挑戦は、県内・国内にとどまらず、海外へも広がる。ベンチャー企業を育む環境が生まれる中、社会課題の解決や夢の実現に向け、起業家たちが革新に挑んでいる。

那覇空港や新路線就航などが沖縄経済成長の要因(写真はコラージュ)

那覇空港や新路線就航などが沖縄経済成長の要因(写真はコラージュ)

◆増える国際路線、アジアより近く

 人口が減少する全国とは対照的に増加が続く沖縄は、観光客数の急伸も重なり、市場が拡大、あわせて起業数も増加している。

 東京商工リサーチ沖縄支店の調査では、2016年に県内で新たに設立された法人数は前年比9・2%増の1867社で、09年の調査開始以降、最多を更新。普通法人全体に占める割合は8・7%と7年続けて全国トップだ。同支店は「沖縄は起業意欲が高く、家族や親族などの支援が得られやすい環境も影響している」と分析する。

 起業に前向きな土壌に新たな要素が加わり、ベンチャー企業の可能性も高まってきた。IT(情報通信技術)の進化で、インターネットがあれば場所を選ばず仕事ができ、世界中の情報にも触れることができるようになった。人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)といった先端技術の開発も急速に進む。

 経済成長著しいアジア諸国の市場性はますます高まっている。アジアの主要都市と那覇空港をつなぐ格安航空(LCC)などの就航も相次ぎ、アジアからの距離の近さは沖縄の魅力の一つだ。

◆ベンチャー企業への投資、前向きに

 日本銀行の大規模な金融緩和政策で市場に出回るお金が増えたことで、ベンチャー企業への投資意欲も高まる。ベンチャー企業の支援を手掛ける県産業振興公社の大西克典マネージャーは「この3~4年で東京などの大手投資家が沖縄に目を向け始めた」と環境の変化を指摘する。すでに県内のITベンチャー3社への投資が実現しており、バイオベンチャー2社も交渉が進んでいるという。

 革新的な技術と知恵を武器に短期間で数億円単位の投資を集め、一気に事業規模を拡大するスタートアップ企業が生まれる可能性も出てきた。

 14年に琉球大学の学生が起業したPayke(ペイク)は、沖縄振興開発金融公庫やベンチャーキャピタルなどから1億9千万円の出資を受け、国内外への展開を目指す。

 スタートアップカフェコザの中村まこと代表は「チャンプルー文化といった多様性を受け入れる風土など、沖縄のポテンシャルは高い。これから多くの起業家が生まれるだろう」と期待した。