沖縄戦前の那覇市内に約1500平方メートルの墓地を所有していたが戦後の混乱で所有権を失ったなどとして、琉球王朝の国王の子孫を始祖とする門中会が、代替地を管理する県と那覇市に所有権の確認を求める訴訟を4日までに、那覇地裁に起こした。同会は当時の住民の証言を頼りに所有を立証する予定で、代表の高安繁彦さん(68)=大阪府=は「証拠収集に6年かかった。先祖の誇りにかけて取り戻す」と訴えている。

所有地であることを那覇市や県に求める訴訟

 訴状などによると、原告の狄氏(てきうじ)高安門中会の始祖は第二尚氏王朝の4代尚清王の八男で、先祖が17世紀、琉球王府に多大な貢献をしたことから、王府から墓地と「御拝領墓」が与えられた。墓は戦前の同市住吉町にあり、同会は毎年墓地で清明祭を開いたとされる。

 だが沖縄戦により、県内の登記簿や土地台帳はほとんどが消失。戦後、沖縄を占領した米軍は所有権の認定作業を経て土地の権利者を確定させた。訴状によると、墓地は数筆の土地に細分化され、所有者も誤って認定されたとされる。高安さんによると、同会は戦後すぐに認定作業に参加できず、異議申し立てができなかった。

 その後、墓地は軍用地に接収され、那覇軍港建設のために海没処分となった。米国民政府によって代わりの土地が与えられたが、割り当てられた土地のうち60平方メートルは県が管理。1439平方メートルの土地は、原因不明で那覇市が所有しているとされる。

 門中会側は戦前の住吉町付近に住んでいた住民の証言や、米軍が10・10空襲前に撮影した航空写真を集め、墓が実在していたことを立証する予定。墓地の海没処分の課程を記した米国民政府の公文書も証拠として提出した。高安さんは「行政による戦後の確認作業が不十分。県や市は積極的に救済に動かず、同様に悩んでいる方も多いはずだ」と語った。

 県と市側は「訴状を確認しておらず、コメントは控えたい」とした。