桜坂劇場の良心・経理の旬子さんが一番好きな映画を聞かれて、この作品を口にした。御年53。劇場近隣で迷ったお客さまからの電話を受け、事務所の窓から体を乗り出して誘導する心優しい彼女は曲がった事が大嫌い。やると決めたことはやり遂げるスーパーキャリアウーマン兼肝っ玉母ちゃんだ。

「彼女がその名を知らない鳥たち」

 蒼井優演じる性格の悪い、働かない女・十和子は恋人のわずかな稼ぎを食いつぶして遊び歩き、妻のいるクズ男との情事に溺れ、心身共に傷つけられていく。不快度満点の物語が純粋度100%の旬子さんの心を射止めたという事実は、この作品が不快なだけじゃないことを証明するのに十分、事足りる。

 物語の中に存在する「愛」に引き付けられるのだろう。あまりにも純粋で究極な愛の姿に、恐ろしささえ覚えるラブストーリー。(桜坂劇場・下地久美子)

 ◇同劇場で6日から上映予定