うるま市の県営団地敷地内で、生後間もない女の赤ちゃんが置き去りにされているのが見つかった。

 女児は裸のまま袋に入れられていたという。幸いにも団地の住人に保護され、命をつなぐことができた。

 ことし1月、30代の女性が派遣先である中部の病院のトイレで男児を産み、男児が死亡する出来事があったことを思い出す。

 自宅で出産し遺棄したり、新生児の遺体が発見されるなど「望まない妊娠」を背景にした悲劇は、なぜ繰り返されるのか。

 親の庇護(ひご)なしに生きられない赤ちゃんを放置する行為は許されるものではない。しかし親の責任を追及し、処罰するだけでは問題は解決しない。

 厚生労働省の調査によると、2003年以降の10年間に児童虐待で犠牲になった子ども546人うち、1歳未満の赤ちゃんが44%に当たる240人を占めた。

 中でも生後1カ月未満が111人、うち94人は生後24時間以内に死亡している。口をふさがれたり、出産後に放置されるなど、「0歳0カ月0日」で命を奪われる赤ちゃんが多いというショッキングな報告である。

 自宅トイレや風呂場で出産するのは誰にも知られたくないからだろう。妊娠や中絶の知識が乏しい未成年者が母親というケースも目立った。生みたいが育てられないなど生活困窮も一因と思われる。

 身近に相談できる相手がいたら、取り返しのつかない結果にはならなかったのかもしれない。

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 熊本市の慈恵病院が運営する「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)は、事情があって親が育てられない子どもを匿名で受け入れる施設だ。

 07年の開設以来、14年度までに預け入れられた子は112人。

 子捨てを助長するという反対論はいまだにあるが、病院側が「殺されたり遺棄されたりする赤ちゃんを『社会の犠牲』と黙殺すべきではない」と話すように、大切なのは生命保護の観点である。

 慈恵病院の取り組みで注目したいのは、「望まない妊娠」で悩んでいる人のための相談だ。14年度に寄せられた件数は4千件を超えた。

 熊本県以外からの相談が7割を占めるなど全国各地からの電話が鳴りやまないのは、地域の相談支援体制が不十分ということの裏返しでもある。

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 「望まない妊娠」では母子手帳をもらわず、妊婦健診にも通わないなど、行政や病院の支援から漏れるケースが多い。

 そのため自治体が力を入れているのが「妊娠SOS」などの看板を掲げる専門の相談窓口の設置だ。県内では県女性健康支援センターなどがその役割を担うが、広く知られているとはいえない。

 重要なのは、思いがけない妊娠に悩む女性たちに手を差し伸べ、支える制度につなげる仕組みづくりだ。

 行政の一歩踏み込んだサポートに救われる命がある。