今の沖縄を取り巻く状況は、オバマ政権が終わりに近づきつつあった頃のアメリカと似ていると思うことが多くなった。

 人種対立の改善や格差是正を掲げ、米国民の熱狂的な支持を受けて初の黒人大統領となったオバマ氏に、多くの人々は変化(チェンジ)を期待した。しかし、もしかしたらそれは幻想に終わるかもしれないと思わせる事件が起きた。2012年2月にフロリダ州で起きた黒人少年射殺事件だ。

 非武装の少年を撃ったヒスパニック系白人男性は無罪となり、抗議は全米に拡大したが、オバマ氏は長い沈黙の末に国民に理解を呼び掛けただけで、問題の根本である黒人差別や銃規制、フロリダ州法に踏み込むことを避けた。

 権力が黒人を不当に扱い、司法が不平等に執行されているにもかかわらず、オバマ氏は「わが国は法治国家だ」と判決の尊重を呼び掛けただけで、その後も白人警官による非武装の黒人射殺事件は頻発したが、沈黙を貫いた。

 少数の黒人リーダーを除き、支持者たちの多くは首をかしげながらも、そうした疑問を口にしなかった。

 任期一期目で「チェンジ」を体現できなかったオバマ氏はスローガンを「フォーワード(前進)」へ変え、僅差で再選された後は中道派へ転じ、人種対立問題とは距離を置いた。

 希望を託したオバマへの失望は喪失感へと変わり、政治家にはもう頼れないと立ち上がった若者たちは「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事だ)」という新たな公民権運動を生みだした。

 そして人種や性差別を公言するトランプ大統領が誕生し、オバマの下で求心力を失った米民主党は政権・議会ともに共和党に政権を奪還された。

 トランプ氏の当選を真っ先に祝った安倍政権は、米紙から「子分」と揶(や)揄(ゆ)される従順ぶりを発揮する一方、沖縄には土地の提供を強要し、新基地工事を進めるのに余念がない。

 翁長雄志知事は「法治国家だから従う必要がある」と言って埋め立て承認取り消し処分を取り消し、16年3月の県民大会で宣言した撤回も実行しないまま、昨年末には工事に使用する石材を海上輸送するための港湾使用を許可した。

 翁長知事は「法にのっとって」と説明するが、権力が沖縄を弾圧し、司法が沖縄に対して不平等に執行され続けている時、沖縄にとって「法治国家」とはいったい何を意味するのだろう。

 一期目を終えたころのオバマのように、翁長知事も「変化」を起こす限界に達してしまったのだろうか。

 オバマに抱いた期待が幻想に終わったアメリカは、大きな喪失感に覆われた。そして今、民意を踏み付け続ける大統領の下で、「チェンジ」を追い求める市民たちは再び厳しい闘いに直面している。(米国特約記者・平安名純代)