【八重山・宮古】最大瞬間風速71メートルと過去最大級の暴風が吹き荒れた台風15号から約1カ月。同規模の勢力を伴った台風21号が接近する八重山地方では28日午前0時現在、住民ら402人が早めに避難所に駆け込んだ。事前の台風情報で規模は大きくならないと見込まれていただけに、住民からは「急に不安が大きくなった。何事もなく通りすぎてほしい」とため息が漏れた。

台風21号の接近による強風で倒れた自転車。後方では男性店員が看板に防風ネットを張る作業に追われた=27日午後9時すぎ、石垣市大川

 石垣市が設置した避難所には、28日午前0時現在、22世帯34人が自主避難した。市の担当者は「通常の6倍ほどの避難者。暴風中に救助要請が殺到した台風15号の影響があると思う」と語った。

 市平得の海の近くに住む女性(67)は台風15号で自宅の窓が損壊。修理を先延ばしにしていたが、台風21号の勢力を知り、慌てて補修し、避難所に駆け付けた。

 「今度の台風に耐えられるか心配。前回も避難所に来たが、自宅を壊された人が暴風の最中に次々に救助されて来たので、早めに避難した」と顔をしかめた。

 急な台風襲来は観光客にも影響を与えた。同日は午前中で竹富町の島々を結ぶフェリーが欠航。小浜島からの最終便で石垣に戻った酒井俊朗さん(43)=千葉県=は「台風が来るとは知らなかった。西表島で2泊する予定もなくなり、ホテルにこもるしかない」と声を落とした。

 今年、先島地方に接近した台風は5度目。石垣市さとうきび生産組合の次呂久栄重組合長は「被害から回復したかなと思えば、また台風。収量の影響が心配だが、自然相手ではどうしようもない」とあきらめ顔で語った。

 28日午前0時現在、与那国町では住民5人が自主避難、陸上自衛隊の基地建設に関わる作業員360人も久部良小中学校の体育館に避難している。竹富町では3人が自主避難。1市2町でけが人の報告はない。

 宮古島地方では伊良部、池間、来間の3大橋が午後6時に通行止め。韓国から初めて宮古島を訪れた会社員の徐知亨さん(30)は「この強い風は初めての体験。とても恐ろしい」と話した。同市上野野原で恒例の豊年祭「マストリャー」や池間島の「ちょうちんまつり」など十五夜行事が予定されていたが中止となった。

■先島近海で急発達「高水温影響」 気象台が会見

 台風21号が予報より急激に発達したとして沖縄気象台は27日午後、急きょ記者会見を開くなど対応に追われた。

 気象台によると、台風21号は同日午前中に先島諸島の南海上で急激に発達した。「先島諸島近海の水温が高く、台風を発達させた」と説明する。

 26日の予報では、中心気圧940ヘクトパスカルで先島諸島に接近するとしていたが、27日午後には中心気圧925ヘクトパスカルで近付くとの予報に修正。8月23日に石垣島で最大瞬間風速71・0メートルを観測した台風15号と同等、もしくはそれ以上の重大な災害が発生する恐れがあるとして警戒を呼び掛けた。

 台風の強度の予報については、進路と海面水温とを鑑みて統計データを基に導き出しているが「自然現象のため、データ通りにいかないことも多々ある。台風21号は統計を上回る勢いで発達している」と説明した。