2018年(平成30年) 6月21日

社説

社説[米軍ヘリ不時着]飛行停止し機体点検を

 現場から最も近い住宅までは約50メートルしか離れていない。日常的に漁や潮干狩りで利用する浜辺で、住民が巻き込まれなかったのは全くの偶然にすぎない。

 6日午後4時ごろ、うるま市の伊計島東側海岸に米軍普天間飛行場所属のUH1Yヘリコプターが不時着した。

 UH1Yは人員や物資を輸送する多用途ヘリで、米軍は不時着について「主回転翼の速度超過を示す異常が表示されたため」と説明している。

 機体は7日、米軍関係者が回転翼を取り外して運び出すなどしており、8日にもヘリでつり下げて米軍ホワイト・ビーチに空輸される見通し。

 1カ月前に普天間所属のCH53E大型輸送ヘリからとみられる部品が宜野湾市の緑ヶ丘保育園の屋根に落下したばかりである。その6日後には普天間第二小の運動場にCH53Eの窓が落下した。

 昨年10月、東村高江の民間地でCH53Eが炎上した事故で飛行再開の際、在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官は「私自身が安全でないと感じる航空機の運用を許可することは決してない」と発言した。しかし米軍機の事故は続いている。

 米軍の機体整備はちゃんとなされているのか。整備体制に不備はないのか。強い疑問を持つ。

 大型輸送ヘリが沖国大に墜落した事故はイラク戦争への配備を急ぎ、睡眠時間が十分とれなかった整備士がピンを付け忘れことが原因だった。北朝鮮情勢の緊迫化で似たようなことが起きていないか。

 米軍は事故原因を徹底究明し、県民に公表すべきだ。

■    ■

 復帰前の沖縄は「空にB52、海に原潜、陸に毒ガス-天が下に隠れ家もなし」といわれた。住民の安心、安全を後回しにして、軍事訓練を優先するのは、復帰前も復帰後も変わらない。

 沖縄本島周辺には米軍の広大な訓練空域が張り巡らされている。伊計島では昨年1月にも普天間所属のAH1Z攻撃ヘリが農道に不時着している。うるま市は飛行ルートの変更を求めたが、要請とは裏腹に、最近は米軍ヘリの訓練が頻繁になり、飛行ルートが島に近づいていると証言する住民もいる。

 AH1Zは不時着の翌日、事故原因と再発防止策を明らかにしないまま普天間に戻り、飛行停止をすることなく通常訓練をしている。住民の不信感が高まるのは当然だ。

 米軍の運用に日本政府は口を挟まないが、改める時だ。国民の安心、安全を侵害する安全保障は本末転倒である。

■    ■

 伊計島で不時着、のニュースを聞いて緑ヶ丘保育園の園長が「民間地に落ちることが身近に迫っている気がして身震いする」と語ったのは、多くの県民が抱いている恐怖感である。

 伊計自治会は今月中にも初の抗議集会を開く。人口約300人の小さい島ではよっぽどのことだ。住民の生命、財産が脅かされることに切実な危機感を抱いている証しだ。

 県が米軍に求めた全機の飛行停止とオーバーホール(分解点検修理)を、日本政府も米軍に要求すべきだ。

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