7日、那覇市の石嶺中学校で開かれた成人式に参加した奥原みなみさん(20)と西原千咲乃さん(19)が晴れの舞台の衣装に選んだのは、紅型職人の祖母、奥原文子さん(70)の「卒業作品」だった。40年勤めた工房の退職と孫の門出を記念し、2着の紅型の晴れ着を制作。孫の2人は「毎日着たいくらいうれしい。大事にして子どもにも引き継ぎたい」と喜びを語った。(社会部・川野百合子)

紅型の振り袖を2人の孫に贈った奥原文子さん(中央)。ポーズをとる新成人の西原千咲乃さん(左)と奥原みなみさん=7日、那覇市首里石嶺町

 奥原さんは、同市首里山川町の城間びんがた工房に約40年勤める。結婚・子育てで一度は辞めるも復職し、2月に定年退職を迎える。

 制作にかけた期間は2年。工房のスタッフにも協力してもらい、仕事の合間を縫って作業した。2着目が完成したのは昨年11月。奥原さんは「間に合うかヒヤヒヤだったけど、工房のみんなのおかげで完成できた」と感謝する。

 奥原さんが家族に晴れ着を制作するのは、今回が初めてではない。千咲乃さんの母香さん(47)、姉彩花さん(22)の成人式でも振り袖を制作した。色も柄も主役の2人が選んだが、千咲乃さんは「お母さんもお姉ちゃんも作っているから、柄がかぶらないようにと悩みに悩んだ」と言う。

 みなみさんは柄の色付けも体験。「昔やったことはあったけど、一生物の着物になるかと思うと、にじんだりしないかと不安で緊張した」と振り返った。

 祖母と一緒に悩み、苦労して完成した晴れ着は「一生の宝物」だ。2人とも「子どもや孫に代々受け継いでいく」と口をそろえる。

 奥原さんは2人が袖を通した紅型を見て「作品としても大満足の仕上がり。孫たちの門出に贈れて本当に幸せ。それぞれの仕事や夢に向かって頑張ってほしい」とエールを送った。