最大瞬間風速81・1メートルを記録した沖縄県与那国町では28日、記録的暴風の影響で電話やインターネットの接続が不能となり、全戸停電が続くなど住民生活がまひした。同日午後9時現在、復旧の見通しは立っていない。民家や学校ではガラスが破損、電柱が折れ曲がり、家々のトタンがはがれるなどの被害が出た。孤立する島の住民は不安を口にした。

28日午後3時30分現在の台風21号

 町役場近くに住む与那覇れい子さん(78)によると、同日午後4時ごろから風が強くなり、窓を閉めても隙間から風と雨が部屋に入り込んできた。窓から近所の家を見ると、トタンがはがれていたという。「電話はアナログだからつながっているかもしれないが、停電してクーラーも使えない。ラジオで台風情報を聞いて1日過ごしている」などと話した。

 祖納集落の「ふじみ旅館」では暴風が吹き付けた東側の通路ガラスが割れ、室内が水浸しになり、ブルーシートやシーツを割れた窓枠にあてがって対応した。同旅館の嵩西房子代表は「風速60メートルの台風でも大丈夫だったが、こんなすごい風は初めて。旅館中のドアやガラスが強風でたわんで怖かった」。

 飲食店を経営する根本和子さん(48)の自宅は、海から500メートルほど離れているが、塩水も浸水してきた。近所の電柱も折れ曲がっていた。「網戸を板で打ち付けるなどいつもより厳重な対策をしたが、板が飛ばされてしまった」と不安そうに話した。

 親戚の経営する旅館へ避難したという入福浜直子さん(37)は「避難途中で、街路樹が折れていたり、道路に網戸が落ちているのを見た。やっとたどり着いた旅館も停電した。台風の強さを実感した」と話した。

 レンタカー店の女性従業員は「午後2時ごろから停電し、路上は街路樹の木の葉が散乱している」。海沿いに住む田里千代基町議は「窓枠から水があふれ、新聞を詰め込んで対応した。至る所で瓦が飛び、建物に被害が出ているようだ」と状況を語った。

■海・空 欠航続く

 台風21号の影響で28日、空路と船便に欠航が相次いだ。日本トランスオーシャン航空(JTA)は32便、琉球エアコミューター(RAC)は20便がそれぞれ欠航した。29日には平常運航を予定している。全日空(ANA)でも26便で運航を取りやめた。29日は石垣発那覇行きの始発便のみで欠航が決まっている。

 船便は、本島航路や先島航路など計299便が欠航。沖縄旅客船協会によると、29日の運航は大半の事業者で早朝に判断するという。

■情報途絶え住民混乱

 【与那国】記録的な暴風が吹き荒れた与那国島では28日、電気や電話などインフラが軒並み寸断され、住民は暗闇の中、情報が得られず、困惑した。

 住民によると、暴風が強まった同日午後から携帯が「圏外」の表示になり、通話やネットができなくなった。残された通信手段は一部の固定電話のみで、風が弱まり始めた夕方以降、徒歩で付近住民や親類の安否確認に追われた。

 防災拠点となる町役場も電話が不通となり、町の担当者は固定電話がつながる住宅に出向き、県防災危機管理課に災害状況を報告した。

 沖縄電力によると、与那国町では午後2時ごろから100戸の停電が始まり、午後5時までには全世帯(1千戸)が停電した。沖縄電力広報グループは「今までにない風が吹いているので被害状況は不明。復旧作業に1日以上かかる可能性が高い」とコメントした。

 NTT西日本沖縄支店によると同日午後3時21分ごろ、中継ケーブルが損傷。午後9時現在、与那国エリア約350回線に影響が出ている。同支店は、復旧は29日以降になるとしている。

■学校避難の300人、窓割れ公民館へ

 台風21号の影響で、与那国町では学校の窓ガラスや電柱が倒れるなどの被害が報告されている。

 八重山署によると、午後6時以降、久部良中学校の体育館の窓ガラスが1枚割れ、体育館に避難していた300人が近くの小学校や公民館に避難場所を移した。

 また、同町祖納でトタン屋根が吹き飛んだほか、県道沿いの電柱1本がなぎ倒される被害が報告されている。