大型コンテナが軽々と吹き飛び、民家の屋根を押しつぶす。最大瞬間風速81・1メートルを記録した台風21号の接近から一夜明けた29日、沖縄県与那国島では民家の損壊や電柱の倒壊など、甚大な被害が明らかになった。電気は一部地域で復旧したが、携帯電話の不通や水道が使えない地区も多く、住民生活の復旧の見通しは立っていない。

台風21号の暴風で崩れた建設現場の足場=29日、与那国町(同町提供)

 一晩中、荒れ狂った暴風が去った29日。家族と身を寄せ合い、息をひそめて夜明けを待った人々は、外に出て、近隣の安否や台風被害の確認に追われた。

 81メートルの風速を記録した祖納集落。町役場近辺の民家の屋根が吹き飛び、ブロック塀が倒壊するなど被害が集中した。

 隣の敷地にあった3メートル四方のプレハブが吹き飛び、屋根の一部が損壊した男性は「衝突で瓦が落ち、屋根を支えるはりも折れた。修繕には費用がかかるはず」とがっくり、肩を落とした。同敷地にあったもう一つのプレハブは強風にあおられて男性宅を飛び越え、約30メートル先の民家の庭にまで到達した。

 久部良集落の民家でも屋根が飛び、住民の男性は隣の家に逃げ込んだ。家財道具すべてが水につかり「暴風が始まった早い時間帯に屋根がきしみ、吹き飛んだ。避難してけがはなかったが、家財道具は全て駄目になった」とうんざりした表情。

 島内3集落を結ぶ道路は至る所で街路樹などが折れ、根こそぎ倒れて車両の往来を防いだ。電線は地面近くまで垂れ下がり、祖納と比川の集落を結ぶ道路では6本ほどの電柱が倒壊していた。

 同日午後から祖納集落の一部で電気は復旧したが、町内全域で水圧が弱まり、高い場所にある住宅や、2階以上の室内では水が出ない状況が続いている。

 一時は「断水するらしい」とのうわさが広まり、商店には飲料水を買い求める人が殺到。水道事情が悪く、多くの飲食店が閉店しているため、普段は観光客や工事関係の作業員でにぎわう店もひっそりとしていた。(金井瑠都通信員)