台風21号が猛威を振るった与那国島では、全住宅の約4割に当たる300戸余りが被害を受けるなど、甚大な影響が出ている。

 資材の運搬に時間がかかり、ボランティアなど支援の手が届きにくい離島の離島である。国と県、町が協力しながら、ライフラインの復旧や被災者支援に全力で取り組んでもらいたい。

 9月28日に八重山地方を襲った台風21号は、与那国島に最接近するころには猛烈な勢力に発達。午後3時41分、最大瞬間風速81・1メートルを観測した。

 県内で80メートルを超えたのは1966年の第2宮古島台風以来、ほぼ半世紀ぶり。与那国では観測史上最高となり、全国でも歴代5位の記録である。

 「走行中の新幹線の屋根の上に立っているようなもの」と例えられるくらい、とてつもない風速だ。これまで何度も台風を経験してきた住民も「今までで一番恐怖を感じた」と話す。

 台風が去った与那国島では電柱が折れ、風力発電の風車の羽根がもぎ取られ、離岸堤が崩壊するなど被害が確認されている。住宅も10戸が全壊、27戸が半壊、282戸が一部破損するなど、日常生活を取り戻すには時間がかかる。

 県は与那国町に災害救助法の適用を決めた。仮設住宅の設置、住宅の応急修理、衣服や寝具の支給などを行うものである。 

 何が必要なのか、人手は足りているか、被災者の話を聞いた上での迅速な対応を求めたい。

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 甚大な被害の一方で、人命にかかわる被害を出さずに済んだのは、「自助」「共助」がうまく働いたからだろう。

 住宅が全壊する前に近所の家へ避難するなど、日頃のつながりが助け合いの精神となって発揮されたという。

 「想定外」だったのは、停電、電話や携帯電話の不通、インターネットがつながらないなど情報網が寸断されたことだ。一時は船が欠航し、飛行機も飛ばず交通手段も遮断された。まったく情報が入らず、不安な時間を過ごした住民も少なくない。

 防災拠点となる町役場の電話も不通になり、別の固定電話から連絡をとることになったという経緯もある。電源を確保する発電機や停電の影響を受けない衛星電話がうまく活用できなかった理由については、検証が必要だ。 

 交通が遮断されても、情報だけは遮断されることがないよう、今後の課題とすべきである。 

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 台風21号がこれほど大きな被害をもたらしたのは、一気に中心気圧を下げて急発達したためという。

 地球温暖化の影響で、今後、台風の規模は大きくなると推測される。今世紀後半には、最大風速80メートルに達する「スーパー台風」が日本を襲うという研究報告もある。

 これまで経験したことのない規模の台風がくるかもしれないとの危機感を行政と住民が共有し、人口減少や高齢化なども念頭に、「想定外」に備える対策を急がなければならない。