オペラ「泥棒とオールドミス」「電話」(主催・同公演実行委員会、共催・沖縄タイムス社)の公演が6日、沖縄県浦添市てだこ大ホールであった。いずれもジャン=カルロ・メノッティ作の英語によるコメディーオペラを、気鋭の演出家・粟國淳が疾走感にあふれ、キャラクターの人間味がにじみ出る作品に仕上げた。県内声楽家の演技力が光った。沖縄タイムス創刊70周年記念企画。(学芸部・天久仁)

ミス・トッド(左・黒島舞季子)の家に転がり込んできたボブ(中央・仲本博貴)にトッドとメイドのレティーシャ(宮城美幸)は心を奪われる「泥棒とオールドミス」=6日、浦添市てだこホール(喜屋武綾菜撮影)

表情豊かに世間話に興じるトッド(右)と友人のミス・ピンカートン(平山留美子)「泥棒とオールドミス」

電話に会話を邪魔されるベン(右・前川佳央)とルーシー(糸数知)の様子をコミカルに描いたオペラ「電話」の一場面

ミス・トッド(左・黒島舞季子)の家に転がり込んできたボブ(中央・仲本博貴)にトッドとメイドのレティーシャ(宮城美幸)は心を奪われる「泥棒とオールドミス」=6日、浦添市てだこホール(喜屋武綾菜撮影) 表情豊かに世間話に興じるトッド(右)と友人のミス・ピンカートン(平山留美子)「泥棒とオールドミス」 電話に会話を邪魔されるベン(右・前川佳央)とルーシー(糸数知)の様子をコミカルに描いたオペラ「電話」の一場面

 「泥棒とオールドミス」は1930年代アメリカの田舎町を舞台に、ミス・トッド(黒島舞季子)の家に転がり込んできたイケメン放浪者ボブ(仲本博貴)をめぐる、メイドのレティーシャ(宮城美幸)やトッドの友人ミス・ピンカートン(平山留美子)が巻き起こす騒動を描いた。

 粟國による急展開の演出が、泥棒を働いてしまったのは実はミス・トッドだった、という観客の予想を裏切る意外な結末を引き立てた。オーバーアクションで表情豊かな各キャラクターは、それぞれが自分勝手な「エゴ」を持ちながらも憎めない存在として描き出された。

 筋運びのスピード感に目が回りそうな中でレティーシャ、ボブそれぞれがソロで聴かせるアリアの場面が舞台を引き締めた。字幕に「はっさ、でーじ」などのしまくとぅばがしばしば登場するのもご愛嬌(あいきょう)。会場からは各場面で笑いとともに、指笛の音も聞こえた。

 「電話」はルーシー(糸数知)、ベン(前川佳央)の2人芝居。電車の出発時間の前にルーシーを訪ね、求婚しようとするベンの前に、電話の音が立ちはだかる。ベンの気持ちも知らず長電話に興じるマイペースなルーシーと、次第にキレ始めるベンの対照的な人柄を糸数、前川が好演した。ピアノは2作品とも大城伸悟が務めた。

 黒島は学生時代に粟國の父で同じく演出家の故・粟國安彦のもとでミス・トッドを演じたことがあるという。作品の縁がきっかけで実現した公演でもあった。