【与那国】台風21号の接近で国内最大級の暴風に見舞われた沖縄県与那国島では30日、疲れた表情の住民らが割れた窓ガラスや雨どいなど家財道具の後片付け、清掃に追われた。同日、台風通過後、初めて航空路線とフェリーが再開。島を離れていた家族が再会し、無事を喜び合った。停電が続いている比川地区では同日午後11時すぎ、一部復旧。島内全域で電源確保のめどがついた。

【雨戸損壊】暴風でぐらついた雨戸を取り壊す男性=30日、与那国町・祖納地区

【懸命の作業】夜間も電気の復旧作業に当たる作業員ら=30日午後8時前

【雨戸損壊】暴風でぐらついた雨戸を取り壊す男性=30日、与那国町・祖納地区
【懸命の作業】夜間も電気の復旧作業に当たる作業員ら=30日午後8時前

 水や食料、電柱などを積んだフェリーは同日午後2時すぎ久部良港に着いた。

 石垣島で開かれた中体連に参加した中学生は1泊の予定が台風の影響で4泊になった。息子を迎えに来た母親(40)は「電話も電気も通じない生活だったので、石垣にいた方がいいと思っていたが、いざ会えるとうれしい」と笑顔を浮かべた。

 一方、同港内にある与那国町漁協は頭を抱える。嵩西茂則組合長は「停電が続き、製氷機が動かないので漁ができない。冷気が逃げるため冷凍庫を開けていないが、中に保管している200万円分のマグロやカジキがどうなっているのか…」と声を落とした。

 海からの強風が吹き荒れた比川集落では半壊した住宅の管理人の男性(55)が後片付けに追われた。「工事関係者の宿泊所として業者がリフォームしている最中だった。屋根が飛んで、柱もゆがみ、元通りには使えないだろう」と諦め顔。

 島には高齢者も多く、青年たちがボランティアで清掃活動を手伝った。窓ガラスや鉄筋の雨どいが壊れた母親の家を仲間たちと片付けた田島芳宏さん(43)は「困った時に助け合うのが島の習わし。これだけの被害でけが人が少ないのは、暴風中も助け合ったから」と語った。

 電気の復旧作業は深夜まで続き、28日から停電が続いていた久部良地区は30日午後8時以降に電気が一部復旧した。居酒屋と民宿を経営する入慶田本朝明さん(65)は「冷蔵庫も使えず、宿泊客の食事の確保が大変だった。電気がついた瞬間はウォーと喜びの声を上げた」と笑顔を見せた。