2018年(平成30年) 1月20日

社説

社説[米軍ヘリまた不時着]海兵隊移転 具体化せよ

 米軍普天間飛行場のAH1攻撃ヘリ1機が8日午後、読谷村儀間の民間地に不時着した。

 大手のホテル日航アリビラ敷地から、およそ250メートル。「もし、ホテルに落ちたら一発で終わり」だと県ホテル協会の當山智士会長は危機感をあらわにする。

 2日前の6日には、うるま市・伊計島の海岸にUH1連絡輸送ヘリが不時着したばかりである。

 米軍は8日午前、不時着したUH1をロープでくくってCH53でつり上げ、雨の中、風にあおられながら機体をホワイトビーチに運んだ。航路の安全をきちんと確保した上での回収作業だったのか。

 AH1が読谷村に不時着したのは、その数時間後のことである。相次ぐ事故の連鎖は、異常という以外に表現のしようがない。

 CH53大型ヘリの窓(重さ7・7キロ)が普天間第二小学校のグラウンドに落下したのは昨年12月13日。あれから1カ月も経っていない。

 このまま行くと取り返しのつかない事故が起きるのではないか、と多くの住民が感じ始めている。住民の命が危険にさらされている、と危機感を募らせているのである。

■    ■

 小野寺五典防衛相は9日、マティス米国防長官と電話会談し、再発防止や点検整備の徹底を申し入れた。

 在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官は、富川盛武副知事に電話し、相次ぐトラブル発生を謝罪した。

 だが、米軍と政府の再発防止策は、事態を沈静化させるための危機管理的な要素が強く、実効性に乏しい。

 「米軍も日本政府も信用できない」「選挙を意識したパフォーマンス」だと不信感をあらわにする人が増えた。

 米軍ヘリ事故が相次いでいるのはなぜか。一般に指摘されているのは、北朝鮮危機に対処するため訓練が激化していること、国防費削減に伴う機体の老朽化、部品の不足、パイロットや整備士などの負担過重など、である。

 「構造上の欠陥はなく、人為的ミス」だとして米軍が事故機の飛行を早々と再開し、防衛省がこれを追認するというケースが目立つ。しかし米軍や政府のこの言い方はまったく信頼が置けない。

 人為的ミスが原因だとすれば、なぜこれほど頻繁に人為的ミスによる事故が発生するのかを明らかにしなければならない。

 夜間空中給油や敵陣地への夜間低空進入など難易度の高い訓練は、気象変化の影響を受けやすいだけでなく、パイロットの技量にも左右されやすい。

 「練度を維持する必要がある」との理由で対策をおろそかにすれば、事故の再発を防ぐことはできない。

■    ■

 当面の措置として必要なのは、普天間飛行場所属のすべての機種について、一定期間飛行を停止することである。

 その間に、ハード面の機体点検と、パイロットや整備士などを対象としたソフト面の検証を行うこと、その結果を公表すること、を求めたい。

 沖縄の米軍基地の運用を閉鎖的な日米合同委員会だけに委ねず、県が利害当事者として権限を持って発言できるような仕組みをつくることも重要だ。

 もっと根本的な対策は「小さなカゴにあまりにも多くの卵を詰めすぎる」という基地沖縄の現実を改めることだ。

 名護市安部海岸で発生したオスプレイの大破事故、東村高江の牧草地で起きたCH53の炎上事故、県内各地で頻発しているオスプレイやヘリの緊急着陸、不時着は、米軍機の事故がどこでも起こりうることを示している。

 本土に駐留していた米海兵隊は1950年代、沖縄に移駐した。膨大な基地建設が可能だったのは、憲法が適用されず、施政権のすべてを米軍が握っていたからだ。

 その結果、沖縄は、演習場や飛行場と住民地域がフェンスを隔てて隣接するという「基地住接近」のいびつな島になってしまった。

 海兵隊の国外・県外移転を通してこの状態を改善することなしに問題の抜本的な解決を図ることはできない。

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