【与那国】国内歴代5番目となる最大瞬間風速81・1メートルの暴風を伴った台風21号に襲われた与那国島では2日、被災以来、2便目のフェリーが食料や建設資材を運搬し、復旧に向けた動きが進んでいる。一方、一部住民は公共施設や知人宅での生活を余儀なくされ、与那国町は災害救助法や義援金による被災者支援に向けて実態調査を始める。

全壊した空き屋を視察する国や町の関係者=1日、与那国町祖納地区

 町の被害速報によると、全壊10件、半壊27件、一部損壊282件。町内では住宅が半壊した男性1人が町構造改善センターで避難生活しているほか、他の被災者も家族や知人宅に身を寄せている。

 町は「被災者全員の現状把握はまだできていない」とし、週末にかけて被災者への聞き取りや建物被害を再調査し、災害救助法による仮設住宅の設置や住宅の応急修理の支援などを検討する。

 町漁協は加入する漁船約30隻を調査、7隻で船体の破損や通信設備の故障が確認された。嵩西茂則組合長は「合計で1千万円ほどの被害額になりそう。漁を再開できた船もわずかで、復旧は遠い」と声を落とした。

 町内の小中学校では、久部良小、比川小、与那国中が損壊して体育館が使えなくなり、体育はすべて運動場を使っているが、ほかは通常授業に戻った。

 石垣島と与那国を結ぶ貨客船「フェリーよなくに」は2日、通常より倍近い貨物を積んで与那国に到着。運航会社の福山海運の担当者は「家の損壊を直すためトタンや瓦、木材などの運搬が多かった。通信会社の車両も運搬し、復旧が本格化している」と語った。

 島内の各商店では台風通過後に不足していた乳製品などもそろい、通常の品ぞろえに戻った。

 電気は1日夜、電話は2日までに島内の主要幹線が復旧した。沖縄電力とNTT西日本沖縄支店によると、2日までに島内3集落の主要幹線が復旧。自宅への引き込み線が断線している場合もあり、停電や通信不調が続く場合は、故障受付窓口に連絡するよう呼び掛けている。

■総務省、5日から被災者相談窓口

 総務省沖縄行政評価事務所は5日から、台風21号の被災者を支援する無料の「特別行政相談窓口」を事務所内に開設する。「り災証明書」の発行や住宅復旧のための融資など相談を呼び掛けている。

 事務所は、那覇市おもろまちの那覇第二地方合同庁舎1号館4階。電話は0570(090)110、098(867)1100。いずれも行政相談専用電話、要通話料、夜間・土日は留守電。相談時間は午前8時半~午後5時15分。

■被災世帯の学生、奨学金受け付け

 日本学生支援機構(JASSO)は2日、台風21号の被害で家計が悪化した世帯の大学生らを対象に、新規の奨学金貸与や減額返還、返還期限の猶予の申請を受け付けると発表した。

 災害救助法が適用された与那国町居住か、実家のある大学生らが対象。近隣で大きな被害を受けた場合も含まれる。住宅が全半壊した大学生らに10万円を支給する「JASSO支援金」の申請受け付けも同日開始。罹災(りさい)証明書が必要で、学校を通じて申し込む。新規の奨学金貸与と併せて申請できる。