とてもいいスピーカーで映画を見た話です

 「スターウォーズ」に「タイタニック」、「ジョーズ」に「パイレーツ・オブ・カリビアン」。

 言わずと知れた名作映画の数々。名場面とともに、テーマソングが浮かんでくるのは私だけではないだろう。

 しかしながら、映画のストーリーやキャスト、話題性に興味をそそられることはあっても、「音楽」をメーンに映画を見たことはあるだろうか。

 私は皆無だった。

◆ぜいたくな企画だけに…

シアタードーナツの外観。扉を開けて2階へ

 年の瀬も迫る12月28日、バスに揺られて沖縄市へ。

 その日のミッションは、コザ(沖縄市)にあるカフェシアター・シアタードーナツが、オーディオメーカーの知名御多出横(ちなオーディオ)とコラボレーションしている企画への潜入だ。「すばらしき映画音楽たち」という映画を知名御多出横の全指向型パイプスピーカーで、実際にいい音にまみれて見ちゃおうというぜいたくな企画だ。

 が、しかし。さっきも触れたが、映画音楽は映画から流れてきて「あたりまえのもの」と思っていた私。映画館のオーディオがどれだけ素晴らしくても、「音」に集中して、「音」を楽しんで、「音」を体感することができるのか自信がなかった。

 「このまま映画を見てはいけないのでは?」。うっすら反省しかけたところで、このシアタードーナツの主(あるじ)である宮島真一さんと、知名御多出横の知名宏師さんにお話を伺うことができた。

◆知名さんとの出合い

 少し時間をさかのぼる。シアタードーナツ前のバス停でバスを降り、入り口のドアをつかんだ時、作務衣(さむえ)に草履の男性が歩いてくるのが遠目に見えた。

 「あの人、寒くないのかな」と思いつつ、もう一度目を凝らす。間違いない、その人こそが知名さんだった。

 以前、近所のコーヒー店でオーディオを設置している場面にたまたま居合わせ、私は知名さんの顔を存じ上げていた。取り付け作業をしていた知名さんから、「いい音でしょう?」と満足げな表情で話しかけられたことを思い出す。あの知名さんだ。

 オブジェのような美しいたたずまいのオーディオは手作りだという。音を体感しようと試みた記憶はあるものの、このオーディオができる過程に思いをはせることはできなかった。そんなあの日をひとり静かに恥ずかしく思った。

 宮島さん、知名さんと3人でロビーのテーブルを囲む。どうしよう、緊張しかない…。