障がいのある子どもが通う特別支援学校を那覇市に設置してほしい、という保護者の声が高まっている。

 開会中の9月県議会でも設置を促す議員の質問が相次ぎ、諸見里明教育長は必要性を認めた上で、協議会をつくり検討していく考えを示した。

 新設を求める保護者の訴えは、障がいのある子どもの学ぶ権利をどのように保障していくのか、根本的な課題を突き付ける。

 那覇市に住み、身体や知的障がいのある子どもを対象とした特別支援学校に通う児童生徒は約400人。うち浦添市の大平特別支援学校に100人余、八重瀬町の島尻特別支援学校に90人余、糸満市の西崎特別支援学校と浦添市の鏡が丘特別支援学校にそれぞれ50人前後が就学している。

 那覇市には知的障がい児が学ぶ特別支援学校がないため、大平や西崎など遠くの学校へ通わざるを得ない状況にあるのだ。

 毎朝早起きして、長時間バスに揺られて登校するのは、子どもたちにとって大きな負担である。保護者からも「送迎に時間がかかるため仕事を続けていくのが困難」「急な呼び出しに対応できない」など悩みの声が寄せられている。

 先月、県特別支援学校PTA協議会の代表は、1万8500人もの署名を携えて、教育庁に陳情書を提出した。

 32万人余りの人口を擁する県都に特別支援学校をとの訴えは、10年以上も前から続いている。地元の学校に通わせたい保護者の要望は切実だ。

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 2015年度学校基本調査によると、小、中学校の在籍者数が過去最低を更新したのに対し、特別支援学校の児童生徒は13万8千人と過去最多を更新している。うち県内は2183人。

 少子化の中にあって特別支援学校の在籍数が増えているのは、保護者が専門的な教育を求めていることと、生活訓練や就労支援への期待が大きいからとされる。

 児童生徒数の増加により問題となっているのは、教室が足りないなど学校の過密化だ。公立学校に障がいのある子どもたちが学ぶ分教室を設ける動きが広がっているのは、その対策の一環でもある。

 県内では南城市の馬天小学校に島尻特別支援学校の分教室が設置され、沖縄高等特別支援学校の分教室設置も進んでいる。

 自宅に少しでも近い地域の学校で、しかも障がいのある子とない子が交流する取り組みは、もっと広げてもいい。

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 健常児と障がい児を分けない「インクルーシブ教育」は国際的な潮流である。11年に改正された障害者基本法にその理念が盛り込まれ、昨年4月に施行された県の共生社会条例はインクルーシブ社会の実現を目指している。

 保護者が特別支援学校の新設を求める背景に、普通学校で障がい児をサポートする体制が整っていないことを認識する必要がある。

 親たちの要望と時代の要請にどう応えていくのか。発足する協議会では成熟途上にある特別支援教育について徹底的に議論してほしい。