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  • ノーベル賞を受賞した大村智さんは「沖縄の恩人」でもある
  • 開発した薬は、風土病といわれた糞線虫症に劇的効果
  • 県内の医療関係者は「受賞するべき人が受賞した」と喜んだ

 ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智・北里大特別栄誉教授の開発したイベルメクチンは、沖縄や奄美地方の風土病といわれた糞(ふん)線虫症の特効薬としても知られる。沖縄県内の医療関係者からは「沖縄の恩人」「受賞するべき人が受賞した」と喜びの声が広がった。

ノーベル医学生理学賞に決まり、記者会見で笑顔を見せる大村智・北里大特別栄誉教授=5日夜、東京都港区(共同通信)

 糞線虫は、熱帯・亜熱帯に広く分布する寄生虫で、小腸上部の粘膜に寄生する。普段は無症状だが、免疫力が下がると下痢や腹痛が現れ、敗血症や肺炎で死につながることもある。

 素足のまま人糞を使う畑で作業していた高齢者などを中心に、現在でも60歳以上の10%近く、約2万5千人が保有しているとの推計もある。

 元琉球大医学部付属病院第一内科教授の斎藤厚さんは、海外で寄生虫予防薬などとして使われていたイベルメクチンが糞線虫症にも効果があるとみて、1989年に研究会を発足。第一内科のメンバーと臨床試験を続け、2002年の国内認可にこぎ着けた。

 「副作用がない上に、ほぼ100%駆除できる。大村先生にもデータを送っていたが、あまりの効果に本人も驚いていた」と振り返り、「世界中で救われた人が何千万人もいる。性格も気さくな方で、受賞を心待ちにしていた」と声を弾ませた。

 第一内科講師で糞線虫症が専門の平田哲生講師は、イベルメクチンを使った治療に二十数年間携わり、1千人ほどの患者を診てきた。「県民の健康に寄与する薬の開発で受賞したのは素晴らしい」と喜んだ。第一内科教授の藤田次郎病院長は「糞線虫症治療の道を開いた。沖縄の恩人」と語った。