第3次安倍改造内閣が発足した。19人いる閣僚のうち、主要閣僚9人を留任させる「安全運転」の先に見据えるのは、来年夏の参院選、そして憲法改正をにらんだ長期政権である。 

 これといった特徴のない目玉不在の改造だった。安倍晋三首相が押し出すのは新設の「1億総活躍担当相」。アベノミクス第2ステージと位置付ける「1億総活躍社会」の実現に向けて経済や子育て、介護問題に取り組むという。

 国民の半数を超える反対を押し切って成立させた安全保障関連法のダメージを、アベノミクスで回復させたいという思惑が透けて見える。

 しかし「総活躍」というネーミングだけが躍り、何をするのかさっぱりだ。地方創生相や経済再生相、厚労相との役割分担もあいまいである。

 女性活躍を重視するといいながら女性閣僚も4人から3人に減った。第2次安倍改造内閣で目玉ポストとされた「女性活躍担当相」が早くも1億総活躍相の兼務となったことにも違和感を覚える。

 驚きの薄い内閣改造にあって、県内で驚きをもって受け止められたのは、沖縄選挙区の島尻安伊子参院議員が沖縄担当相に起用されたことだ。 参院当選2回とキャリアが浅いにもかかわらず大臣に抜てきされたのは、女性にこだわったからとされるが、それだけではないだろう。

 沖縄振興を担当する大臣に島尻氏を充てるのは、来年の参院選と辺野古への新基地建設を意識した人事と見た方がいい。

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 過去に県出身の伊江朝雄氏や上原康助氏が、沖縄開発庁長官となった時に県民から寄せられた期待感とは明らかに違う空気が流れている。

 それは島尻氏の政治家としての歩みによるものだ。

 島尻氏は2期目の2010年の参院選で普天間飛行場の「県外移設」を公約に掲げ当選した。その後、有権者への十分な説明もないまま、辺野古移設容認へと転じた。

 国会で「違法な妨害活動を阻止するため、警察と海上保安庁が先んじて対策を打つべきだ」と質問し、政府に対応を求めたこともあった。

 沖縄担当相は、県内市町村長と接触する機会が多く、市町村から予算などの要請を受ける立場だ。島尻氏の担当相起用の背景には、島尻氏が立候補を予定している参院選を有利に運びたいという考えがあるのだろう。

 来年の宜野湾市長選、県議選、参院選に勝利し、流れを変えたいという意図が読み取れる。

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 島尻氏が安倍首相や菅義偉官房長官と同じ目線で辺野古移設を推進し、そのために沖縄振興策を束ねる大臣としての立場を利用すれば、振興策はゆがめられる。

 振興策と基地をリンクさせたり、市町村長を振興策で縛るようなことがあってはならない。

 沖縄問題の総合的な窓口になるのが担当相の役割だ。県民の声を幅広く吸い上げ、沖縄県との調整を密にして政策を進めていくことが求められる。沖縄振興の原点を肝に銘じてほしい。