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  • 北斗晶さんの乳がん手術報道後、検診への関心が高まっている
  • 「人ごとじゃない」と来院者。クリニックの電話は鳴りやまず
  • 医師は「まずは検診が大事」と強調。「毎年受ければ95%は大丈夫」

 元女子プロレスラーでタレントの北斗晶さん(48)の乳がん手術による右乳房全摘出が大きく報じられたことで、沖縄県内の乳腺科があるクリニックでは、検査の予約や症状の問い合わせ、来院が相次いでいる。10月は乳がん検診啓発のピンクリボン月間。関係者は「北斗さんの件で関心が高まっている。ただ、必要以上に心配はせず、きちんと専門医に診てもらうようにしてほしい」と呼び掛けている。(渡慶次佐和)

北斗さんの乳がん報道以降、専門クリニックには問い合わせや予約なしの来院が相次いでいる=7日、浦添市・宮良クリニック

県内の年齢層別精密検査受診率(乳がん)

北斗さんの乳がん報道以降、専門クリニックには問い合わせや予約なしの来院が相次いでいる=7日、浦添市・宮良クリニック 県内の年齢層別精密検査受診率(乳がん)

 浦添市の宮良クリニックでは9月下旬の手術報道後、問い合わせの電話が鳴りやまず、数日間は一日100件ほどに上った。今月の予約もほぼ埋まっている状況で、予約なしで直接来院する患者も多く、7日は通常の50人を上回る90人が来院した。年代も20代から80代まで幅広いという。

 宮良球一郎医師は「検診に行かない人が来院しているのは、北斗さんの効果。報道後に診断した中で、4人の方に(がんが)見つかった」と指摘する。

 南城市から訪れた女性(52)は「右胸に違和感があった。北斗さんは家族にがん患者がいないにも関わらず乳がんだった。人ごとじゃないと思って…」と不安げに話した。

 北斗さんは定期的に検診を受けていたが、乳がんが見つかった。那覇西クリニックの玉城研太朗医師によると、北斗さんのように検診のはざまで見つかる乳がんを「中間期乳がん」という。腫瘍の増殖のスピードが速いタイプの場合は、治療が難渋する可能性はあるが、「中間期乳がん自体は多いわけではなく、まずは検診を受けることが大事。今は乳がん治療も進歩しており、世界レベルで薬の研究も進んでいるので、早期発見で治療ができる」と強調する。

 検査予約が通常の2割増となった浦添市の「ドクター久高のマンマ家クリニック」の久高学医師は「毎年きちんと検診を受けていれば、95%は大丈夫。不安になりすぎず、年に一回はマンモグラフィーとエコー検査を受け、専門医の診断を仰いでほしい」と呼び掛ける。

 県内で活動する患者の会「ぴんく・ぱんさぁ」の与儀淑恵代表は「メンバーの中でも話題に上るのが、検診後の対応」とする。「検診結果で『経過観察』や『再検査』とあったら、大丈夫だろうと思わずに、きちんと再検査や病院へ行ったほうがいい」と訴えた。

■精密検査、沖縄県内は低迷

 沖縄県内では市町村の乳がん検診で、再検査が必要とされた後に精密検査を受診した人の割合が全国平均より低いのが特徴だ。

 県のまとめによると、2012年度は全国平均を12・4ポイント下回る72・5%。精密検査を受けない場合、進行した状態で見つかることが多いとされ、県内の乳がん患者の「5年相対生存率」は全国平均より低い。

 精密検査受診率を5年ごとの年齢層でみると、75歳未満では「45~49歳」が69・7%と最も低かった。県健康長寿課の糸数公課長は「精密検査を受けるよう言われながら受けずに、他の病気の治療中に偶然に進行したがんが見つかることが多い」と指摘。乳がん検診や精密検査を受けて早期発見・早期治療につなげるよう呼び掛ける。一方、13年度の県内の市町村の乳がん検診受診率は18・6%。全国平均は17%で、沖縄県は都道府県順位で22位だった。