米軍普天間飛行場の辺野古移設計画に賛成なのか反対なのか。賛成でも反対でもないとすれば、それ以外にどのような立場があるのか。

 28日告示、2月4日投開票の名護市長選は、移設に反対する現職の稲嶺進氏(72)と、前市議で新人の渡具知武豊氏(56)が出馬を表明した。総力戦の様相を呈している。

 政府自民党は、昨年12月末から年明けにかけて、菅義偉官房長官と、自民党の二階俊博幹事長ら党幹部が相次いで来県し、渡具知陣営のテコ入れを図った。市長選とは思えない力の入れようだ。

 最大の争点は辺野古移設問題である。

 3選を目指す稲嶺氏は「海にも陸にも新基地を造らせないことを前面に出し、市民の審判を問いたい」と辺野古反対の姿勢を堅持していくことを明らかにした。

 昨年12月28日の政策発表記者会見で渡具知氏は、賛成か反対かを明らかにせず、その代わり「日米地位協定の改定及び海兵隊の県外・国外への移転を求める」ことを強調した。

 公明党県本と渡具知氏との政策協定書にも同じ文言が使われている。しかし、公明党県本は辺野古移設反対の立場を今も崩していない。

 渡具知氏の言う「海兵隊の県外・国外への移転」は、どういう意味なのか。

 会見で渡具知氏は「県外・国外移転というのは米軍再編にも明記されている」と説明した。要するに、辺野古容認ということなのか。

 当選後、米軍再編交付金を受け取るのか、との質問に対しては、「受け取れるのであれば受け取る」との考えを示した。米軍再編交付金は協力しなければ交付されない。

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 渡具知氏はかつて、名護市議会の一般質問で「容認して移設をするという方向で私は今後も主張していきたい」と強調している。

 一連の流れを踏まえて言えば、「辺野古容認」としか受け取れない。

 だが、渡具知氏は、国と県が裁判で争っていることを念頭に「司法の判断を注視する」と語り、辺野古移設の是非を語っていない。

 4年前の前回市長選では、末松文信氏が正面から「辺野古容認」を主張し、現職の稲嶺氏に挑んだ。わかりやすいがっぷり四つの対決で、争点は明確だった。

 前回の末松氏と違って、渡具知氏が辺野古移設の是非を語らないのは、争点化を避ける戦術なのだろう。なぜ、対立軸をあいまいにするのか。

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 渡具知氏を推薦する自民党県連は昨年4月の県連大会で、これまでのあいまいな表現を修正し、辺野古移設を「容認する」と明記した。

 自民党県連と公明党県本の辺野古政策には明らかに距離がある。その自民党県連と公明党県本がそろって渡具知氏を推薦しているのである。

 最大の争点である辺野古移設の是非を語らないのは、有権者に対して誠実な態度とはいえない。

 事業着手後初めての市長選である。然るべき判断材料を提供しなければ有権者は判断のしようがない。