第一航空(本社・大阪府)の那覇-粟国路線が15日、再開した。粟国空港で着陸失敗事故を起こしてから約2年5カ月ぶりである。

 1日2往復の運航によって、通院など沖縄本島に日帰りで行くことが再び可能となった。「生活路線」である粟国便が再開されたことに住民から歓迎の声が上がる。

 ただ運航が決まっているのは、3月末までである。

 那覇-粟国は不採算路線で、第一航空が示した赤字見込み額は2017年度が約1億700万円、18年度が約2億6千万円。17年度分については県、村、国が補助することを決めたが、18年度分は負担額が大きいとして県、村とも認めていない。18年度の補助の負担割合は、県が約1億6千万円、村が約8千万円、国が約2千万である。

 粟国村は人口約700人の小規模離島で、単年度の予算規模は15~16億円だ。村は「負担額を払い続ければ財政が破綻する」と訴える。県も、補助継続は困難としており、4月には再び運休となる公算が大きい。

 赤字額が膨らんだことについて第一航空は「事故後、運航再開に向けた訓練費の複数年度にわたる支払いがあったため」などと話している。

 事故を起こしながら、操縦士の訓練費負担を行政からの補助金に求めるのは違和感がある。

 さらに、第一航空が就航を計画していた石垣-多良間、石垣-波照間の2路線は黒字が見込まれたが、事故で具体化していないことも悪影響を与えている。

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 再開初日は、双発プロペラ機DHC6(19人乗り)の2往復4便で計12人の搭乗にとどまった。

 1便の乗客となった男性が「周りには『誰が最初に乗るか』と不安がる声が多かった」という言葉が象徴するように、第一航空に対する安全性への不信感は払(ふっ)拭(しょく)されていない。

 同型機は15年8月28日、粟国空港で着陸に失敗、滑走路を外れてフェンスに衝突した。乗客ら14人のうち11人が負傷した。

 運休の間に、運輸安全委員会は、副操縦士が知識不足で前輪を固定する操作をしなかった人的ミスとする報告書を公表。操縦士の訓練記録を改ざんしたりしていたことも明らかになり、国土交通省から事業改善命令を受けた。

 地元へのトラブル報告も遅れ、不信感に拍車をかけた。

 安全性に対する信頼を回復しなければ、搭乗率の向上も望めない。

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 粟国から那覇までは村営フェリーで片道約2時間、1日1往復している。ただ、ドックや台風、海上のしけなどで年間約60日欠航しているという。近隣離島と比べて約2倍だ。港が風の影響を受けやすいためである。

 離島航空路線は、生活の足にとどまらず、教育、医療、福祉の向上の基盤となる。船便とともに、航空便は「しまちゃび」(離島苦)解消の手だてとして重要だ。

 行政もいっしょになって離島振興の観点から安定運航に知恵を出し合ってほしい。