翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しに、沖縄防衛局が行政不服審査法(行服法)で対応した場合の沖縄県のさらなる対抗策について、現時点で妙案は見つかっていない。県が選択肢とする行政事件訴訟法(行訴法)を根拠とする抗告訴訟は、専門家の間でも「やってみなければどう転ぶか分からない」のが実情だ。裁判所で門前払いとなる可能性も大いにある。前例のない事態に暗中模索が続く。

 行服法は「国民」の救済を目的としており、「国」の不服申し立てを想定していない。県は「沖縄防衛局に申し立ての資格はない」と主張。同じ政府機関の国交相が審査することに「公平ではない」とけん制してきた。防衛省は「国の機関であるが、承認を得るまで私人と同じ手続きを経たので、私人と同じ資格がある」と見解を示している。

 多くの専門家や弁護士が「国は無理筋」と口をそろえる中、実際に動き出せば、その違法性を裁判で確認するのは難しいと考えられてきた。行服法や行訴法では、今回のケースで県が国交相を訴える明確な規定がないからだ。

 これに対し、2000年4月の改正地方自治法の施行以降、国と地方が対等関係になったことから抗告訴訟の道が開けたという解釈が出てきた。

 つまり、かつて機関委任事務の頃にあった国の指揮監督権は否定されることから、仮に承認取り消しの執行停止を決定しても、県はその決定に拘束されず、さらに「自治権の侵害」という観点で訴えの利益があるという見方だ。

 地方公共団体が国を訴える前例は極めて少ないが、裁判になれば国と地方の関係からも判断に注目が集まりそうだ。

 一方、専門家には、行訴法は原則として個人の法律上の利益を保護する目的で行政機関同士の争いはなじまず、「国と同じ無理筋」といった否定的な声や、地方自治法の規定に基づいて対処するべきだ、といった意見もある。(政経部・福元大輔)