元プロレスラーでタレントの北斗晶さん(48)が、乳がんであることを公表して以来、沖縄県内のクリニックでは検査の予約や問い合わせが相次ぐなど乳がんへの関心が高まっている。

 乳がんは女性に最も多いがんで、日本人女性のおよそ12人に1人が患う。2014年の死亡者数は1万3240人。人気タレントの告白が大きな話題となるのは、人ごとではないからだ。

 北斗さんの場合、毎年検診を受けていたにもかかわらず、右乳房を全摘出しなければならないほど腫瘍が大きくなっていたことにも衝撃が走った。

 「急速に成長する中間期乳がんというケースもある。決して多いわけではない」「毎年きちんと検診を受けていれば95%は大丈夫」と乳腺専門医。やはり大事なのは定期検診と月に1度のセルフチェックという。

 手術を終え闘病中の北斗さんも「私の発表で、たくさんの方が検診に行こうと思ってくれたならば、それが何よりもうれしい」とブログにつづる。

 10月は乳がんの正しい知識と早期発見を呼び掛ける「乳がん月間」でもある。検診の大切さを訴え、建造物をピンク色に点灯するイベントが各地で取り組まれ、県内では3日、北谷町美浜の観覧車がピンクに輝いた。

 早期に発見できれば乳がんは治しやすいがんとされている。「自分だけは大丈夫」と過信せず、「忙しいから」と面倒がらず、どうか検診に足を運んでほしい。

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 早期発見のためには受診率の向上が求められるが、乳がんに限らず、がん検診受診率は低迷している。

 厚生労働省の13年度地域保健・健康増進事業報告によると、市町村が実施したがん検診の受診率は、胃がん9・6%(沖縄6・5%)、大腸がん19・0%(11・3%)、乳がん25・3%(23・0%)などとなっている。

 県内では精密検査が必要とされながら受診しなかったり、途中で治療を中断する人が多いことも指摘されている。

 これら問題と関係しているのだろう。先月、国立がん研究センターが発表した「5年相対生存率」の都道府県別データに関係者は驚いた。

 がんと診断された場合、治療でどれくらい命を救えるかを示す指標である。がん患者全体で最も高かった東京の74・4%に対し、最も低かった沖縄は55・2%と、20ポイント近い差があったのだ。

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 県民の意識や健康管理に問題がないわけではない。だが、がん検診を受けない人たちの中に「受診のための費用が問題」「受診する時間がない」と話す人が一定数いることを、県や市町村は気に掛ける必要がある。

 長寿復活を目指す県の健康増進計画「健康おきなわ21」では重点目標の一つに「がん検診・特定健診を定期的に受け早期発見・早期治療」を掲げている。

 検診の休日実施の拡大や、低所得者層に重点を置いた対策など、未受診者への働き掛けを強めてもらいたい。