ウチナー口漫談のプロを育成する沖縄演芸学園(嘉手納町)で、20代から60代までの受講生23人が話芸に磨きをかけている。沖縄戦で傷ついた人々を笑いで勇気づけた漫談の継承と、しまくとぅばの普及も目指す。学園長の八木政男さん(84)は「ウチナー口漫談には人を和ませよう、喜ばせようとするウチナーンチュの肝心(ちむぐくる)が宿っている。その精神を受け継いでほしい」と期待する。(中部報道部・仲田佳史)

八木政男学園長

首里言葉での表現方法を学ぶ受講生=9月16日、嘉手納町

八木政男学園長 首里言葉での表現方法を学ぶ受講生=9月16日、嘉手納町

 「はいさいぐすーよー。今日拝(ちゅーうがな)なびら」。恒例の3分間スピーチで授業は始まる。受講生は、地域の夕涼み会に参加した日常や自作の創作小話を披露。面白い展開に笑いが起こり、終了後は感想や質問が飛び交う。話芸の追求、首里言葉の習熟など動機はさまざま。笑いを通した学びの世界に、皆ぐっと引きつけられている。

 授業は来年5月まで毎週水曜日午後2時から2時間。沖縄芝居役者の八木さん、吉田妙子さん(80)が、首里言葉の意味や使い方、話芸のこつを伝授する。

 「センスル節」や「塩屋(すーやー)ぬパーパー」など1年間で三つの漫談を学ぶ。披露宴の司会や、高齢者介護施設の慰問で漫談を披露できる人材育成を目指す。

 先月の授業では受講生が「センスル節」を演じた。タクシーに乗車拒否された女性が、若い女性を乗せた運転手に怒りのあまりこうつぶやく。「いやーや みちいちゃいるばすねー いーびなぎやーに みーくじらやー(今度、道で会ったら指投げて、目を突こうね)」。八木さんは「指を投げるといった、有り得ないことを言うのがウチナー口漫談の面白み」と説明する。

 学園は、北谷町でFMニライを運営するクレスト(嘉手納町、池原稔代表)が6月に開講した。同社は、しまくとぅばで番組を放送するインターネットラジオ「沖縄しまくとぅば放送局」も運営する。人材を育て、ウチナー口漫談の番組作りを目指す。

 ウチナー口漫談はラジオで育まれた。フリープロデューサーの上原直彦さん(76)が琉球放送で書き下ろし、八木さんと佐川昌夫さんによる「ダブルまさお」が人気を博した。池原代表(65)は「ウチナー口漫談で笑える環境が日常的になれば、しまくとぅばも普及する。小那覇舞天や照屋林助のような本流のできる人を育てたい」と意気込む。

 受講生の親川秀光さん(63)=宜野湾市=は「面白い表現が思い付くと、書き留めている。物語も書いているので、話芸を磨き披露したい」。久手堅豊さん(59)=南城市=は「私がやりたいのはこれだ、と天使の前髪をつかんだ気持ち。うやふぁーふじ(先祖)から受け継いだ文化を子どもたちに残したい」と話す。