戦後沖縄の歩みを知り、郷土愛や社会をつくる一員としての意識を育てようと、大同火災海上保険(上間優社長)は17日、那覇市久茂地の同社で若手社員を対象に、沖縄戦後史と社史をリンクさせて学ぶ研修を実施した。入社1~2年目の28人が、激動の戦後史と同社の関わりについて意見を交わしながら考えた。修学旅行生に平和学習のプログラムなどを提供する企業「がちゆん」が企画した。(社会部・松田麗香)

がちゆんの国仲瞬社長(右から3人目)から大同火災の社史と沖縄戦後史を重ねて学ぶ若手社員=17日、那覇市久茂地・大同火災本店(渡辺奈々撮影)

沖縄初の損保会社

 同社前身の琉球火災は米軍統治下の1950年、沖縄初の損害保険会社として誕生。事業展開や体制の移り変わりは、米軍絡みの事件・事故や本土復帰などの歴史と連動する。根元崇英人事課長代理は「どんな出来事が今の沖縄社会をつくったかを知り、なぜこの会社が生き残れたかを考えてほしい」と研修のねらいを語る。

 社員らは、米軍の抑圧に直接抵抗した70年のコザ騒動や、右側通行から左側通行へ交通ルールが変わった78年の「730」などを学習。社員の多くが「何があったか詳しく知らない」と話していたが、がちゆんの国仲瞬社長と平仲稚菜さんが時代背景を丁寧に解説した。

 戦後史の写真を時系列に並べ替えるワークショップには四苦八苦。新聞記事などを頼りに「写真の背景にネオンがある。わりと最近の年代じゃないか」などと話し合いながら取り組んだ。さらに社史を書いたカードも配られ、時系列を予想して並べると、戦後史の節目の出来事が同社の変化の時期と重なった。

業績を伸ばした「730」

 「キャラウェー旋風」の63年には損保業界の混乱のあおりを受け、当時の社長が辞任。コザ騒動の頃には、本土企業の参入を警戒した琉球火災と共和火災が体制強化のため合併を協議し、71年に大同火災が誕生。「730」では、事故の増加を不安視した多くの県民が保険に加入し、業績を大きく伸ばしていた。

 入社2年目の宮城華織さん(24)は「こんなにも歴史の出来事と連動し、影響を受けていたなんて。ぼんやりしていた戦後史を身近に感じた」と驚いた様子。友寄隆也さん(24)は「歴史が今につながっていると実感した。今後の戦後史や社史をつくっていくのは自分たちだと自覚した」と述べた。

 がちゆんが企業を対象に沖縄戦後史の研修を手掛けたのは今回が初めて。国仲社長は「学校で教わらなかったから沖縄戦後史を知らないではなく、社会に出ても学べるし学ぶべきだというモデルケースになれば」と期待を込めた。