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  • 浦添市の松田トキ子さん(83)はバーベルなどの筋トレを34年間継続
  • 64歳のとき網膜色素変性症と診断され、視力は0.02まで落ちている
  • 約1時間の筋トレを週5回。最初は反対していた医師も応援している

 【浦添】ムキムキの背筋を誇るおばあちゃんがいる。松田トキ子さん(83)=浦添市港川。屋富祖にある浦添ボディビルセンターに34年間通いつめ、指導者の新垣清喜さん(74)と二人三脚で鍛え上げた体だ。失明宣告を受けながらも「やらないと損」とバーベルやダンベルを週5回上げている。(平島夏実)

指導者の新垣清喜さん(奥)と計20キロのバーベルを持ってフルスクワットをする松田トキ子さん=7日、浦添市屋富祖の浦添ボディビルセンター

「最近の子はみんなスタイルがいいけど、あたしだけこんなのよ」と笑う松田トキ子さん

指導者の新垣清喜さん(奥)と計20キロのバーベルを持ってフルスクワットをする松田トキ子さん=7日、浦添市屋富祖の浦添ボディビルセンター 「最近の子はみんなスタイルがいいけど、あたしだけこんなのよ」と笑う松田トキ子さん

 身長146センチ。体重43キロ。「中学生みたいでしょ」と松田さんはおどけるが、その筋力は“半端ない”。

 バーベル計10キロを頭上に掲げ、肩のラインで上げ下げすること20回。息は全く上がらない。重りを計20キロまで増やし、お尻がかかとに付くまで座ってから立ち上がるフルスクワットを30回。床から突き上げるような勢いの良さに、バーベルが「カシャン! カシャン!」と悲鳴を漏らす。

 約1時間のトレーニングを週5回。BGMは沖縄民謡。浦添ボディビルセンターで一番の古株だ。5人の子どもの世話が一段落つき「ずっと家庭にいて、このまま寝たきりになったら…」と不安がり始めた当時50歳の松田さんに、姉が近所のボディビルセンターを紹介してくれたという。

 20代や30代の生徒に混じる松田さんを、1986年のボディービル選手権で世界チャンピオンに輝いた経験を持つ指導者の新垣さんは「絶対続かないと思った」と振り返る。「ところが、なんせすごい根性」。姿勢も呼吸法も教えた通りに飲み込み、ほかの誰よりも忠実に守った。

 受け入れて14年目。64歳の松田さんは網膜色素変性症と診断され、「2年以内に失明」「筋トレは眼圧が上がるから禁止」と宣告された。

 「どうせ見えなくなる目なら、家にこもっていないで来てくださいよ」。新垣さんは松田さんとマンツーマンで向き合おうと決めた。それから約20年。松田さんの視力は0・02まで落ちたが、筋力は上がり続けている。医者は、筋トレ頑張ってと声を掛けてくれるようになった。

 最近の趣味は、ひ孫のベビーシッターだ。「こういうおばあちゃんがたくさんいたらなあ」。しみじみつぶやく新垣さんに、松田さんは「あたし、チビッコよ」と顔をくしゃくしゃにして笑って見せた。