沖縄の農業生産が好業績を上げている。

 農林水産省の2016年生産農業所得統計を基に県がまとめた資料によると、売上高にあたる農業産出額は16年までの5年間で28・1%も伸び、全国平均(11・6%)の倍以上の成長率を達成した。伸び率は全国1位だった。

 産出額から中間経費を差し引くなどして求める生産農業所得も前年比43・3%増えて、500億円となり、21年ぶりの高水準に達した。販売農家1戸当たりの生産農業所得も58・2%増の388万円で、統計がある1985年以降で過去最高だった。15年の全国13位から8位に上昇した。

 所得向上は、産出額の伸びが大きく寄与している。16年の産出額は前年比9・6%増の1025億円で、全国33位だった。順位は前年と変わらなかったが、伸び率は全国平均の2倍以上と高かった。

 好調の要因はサトウキビと肉用牛だった。90万トンを超えて豊作だったサトウキビの産出額は、34・0%増加の217億円だった。肉用牛も18・2%増の221億円で、初めて200億円を突破した。子牛の価格が高値で推移したことが、好影響した。

 県などはサトウキビ生産の立て直しを目指し06年から10年間の増産プロジェクトを実施。土地改良やかんがい排水施設の整備などで生産基盤を強化し、機械化なども進めてきた。肉用牛も畜舎整備や母牛の増頭支援などを通して、市場環境に対応した。諸施策が奏功して結果に結びついたのなら、今後の農業生産の見通しは明るい。

■    ■

 だが、農業を取り巻く環境は依然、厳しい。

 農家数の減少や高齢化も進む。新規就農者も年間300人ほどいるが、商品生産を主たる目的にする販売農家の減少に歯止めがかからない。

 16年の1戸当たり生産農業所得が増えた要因は、産出額の増加だけでなく、販売農家数、つまり分母が減少していたこともある。

 農業用水源施設やかんがい施設などの生産基盤の強化も一定、進んでいるが、道半ばである。沖縄21世紀ビジョン基本計画で必要とした整備量の進捗(しんちょく)は5、6割。最終の21年度に向け取り組みを加速してもらいたい。

 課題への対応を進め、産出額や農家所得が増加して農業の魅力を高めていければ、生産者の意欲向上や就農者の増加につながる。そして新たな技術投資などを通して増産を目指す。そんな好循環を官民挙げて形成してもらいたい。

■    ■

 21世紀ビジョン基本計画では、21年度の農業産出額を1220億円にする目標を掲げている。

 県によると、目標を達成するために、1戸当たりの産出額は946万円が必要になるという。16年の795万円から約20%増やす必要がある。

 そのためには、主力のサトウキビと肉用牛の産出額をベースに、野菜や果樹、花卉(かき)などの園芸品目、肉用牛以外の畜産も強化していくことが重要となる。

 強い沖縄農業の確立に向け、着実に課題へ対応することに期待したい。