沖縄が歩んだ戦後70年の道程を自らの決断に投影した。名護市辺野古の新基地建設で、13日に埋め立て承認を取り消し、記者会見した翁長雄志知事。「日本の政治の堕落だ」。沖縄の声を顧みず、安全保障の負担を押し付ける政府に強い疑問をぶつけた。法廷での争いが必至の先行き。「新基地は造れないだろう」。国と対峙する前例のない道を選んだ自分自身に言い聞かせるように言葉を重ねた。

(右)会議室を埋め尽くす報道陣を見つめながら入室する翁長雄志知事=13日午前10時、沖縄県庁 (中)埋め立て承認取り消しについて会見する (左)会見を終え、笑顔を見せながら退室する

 午前10時、沖縄県庁6階の特別会議室。カメラの無数のフラッシュを浴びながら、一礼して着席した。

 「本日、埋め立て承認を取り消しました」。用意されたペーパーに目を落としながら、開口一番、歴史的な節目を刻む決断を発表した。

 就任以来、方針見直しを政府に求め続けた。国に盾突くとして批判も多い。「他の都道府県が国に物申したとき、対立や独立と言われないのに、沖縄だと言われる。日本の民主主義の貧弱さがある」。理不尽さへの反発心が、会見を通した発言に貫かれていた。

 正面を見据え、険しい表情。記者の質疑に入るとペーパーを一切見ず、自身の思いをつむいだ。「沖縄が何を果たしてきたか。自負もあるし無念さもある」。決断に至る思いを問われ、口をついて出た。本土が平和を享受し、経済成長を謳歌(おうか)する中、一身に基地を背負い続けた。なおも沖縄に負担を請う。澱(おり)のようにたまった思いが「日米安保を品格のあるものにしてほしい」との“心の渇き”に昇華された。

 「今はまだ整ってないから、沖縄が(基地負担を)受けるしかない」。この間、中谷元・防衛相から掛けられた言葉を紹介し、「おそらく20~30年後の防衛相も同じような話をしていると思う」と返したことを明かした。

 「基地の提供を日本政府が自主的に物事を判断しているのか。ただの領土、基地の要塞(ようさい)としてしか(沖縄を)見ていない」。たびたび使うフレーズで胸の内を表現し、普天間飛行場が固定化するとして知事に責任を負わせる政府側を「姑息(こそく)」と突き放した。

 法廷闘争が迫り、いばらの道はまだ続く。「事の本質を国民、世界に理解してもらえる」。前向きな言葉で会見を締めくくると、同席した弁護士をねぎらい、ほっと笑顔を見せた。