沈黙してはいけないと勇気をもって立ち上がった島の人たちの危機感がひしひしと伝わった。

 県内各地で米軍機事故が相次ぐ中、うるま市伊計島で1年間で2度も米軍ヘリコプターが不時着したことを受け、伊計自治会は21日、公民館で抗議集会を開いた。「島の上空や島の近くを飛行しないようコースを変更する」「夜間飛行をさせない」-ことなどを沖縄防衛局に求める決議を全会一致で採択した。

 自治会が米軍に対する抗議集会を開くのは初めてだ。小さな島の抗議の意思表示を日米両政府は重く受け止めなければならない。

 伊計島は人口約260人。「しまは演習場でない」と大書された公民館2階ホールには約140人が集まった。ふるさとを思い、那覇市など本島から駆け付けた島出身者も多かった。

 抗議集会で地元の漁業者、青年、子ども、旧伊計小中学校卒業生、観光業者らが登壇。平穏な日常生活を守る大切さとともに、子育て環境や漁業、観光に与える悪影響をそれぞれの立場から指摘した。

 高齢者を代表して島で沖縄戦を体験した西宮貞子さん(92)が「島の上をヘリが飛ばない安心できる余生を過ごしたいんです」と訴えると大きな拍手がわき起こった。

 戦争の悲惨さを身をもって体験し、いまなお米軍ヘリが墜落する恐怖におびえ、その恐怖を未来の世代には負わせたくないとの思いをかみしめるように語った。

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 伊計島へは今月6日、東側海岸に普天間飛行場所属のUH1Y多用途ヘリ、昨年1月20日には農道にAH1Z攻撃ヘリが不時着している。

 県議会決議に先立ち、うるま市議会は今月11日、軍用機の住宅地上空での飛行を全面禁止することなどを全会一致で可決した。しかし米軍は原因究明と再発防止策を公表しないまま、不時着の翌日から同型機が島の上空を飛び、夜間飛行も続けている。

 不時着前と何も変わっていない。島の人たちの怒りも限界に達している。

 昨年5月にはホバリングしながら葉タバコ農家に向かって降下する米軍ヘリが確認されている。玉城正則自治会長は「住民を標的に見立てているのではないか」と憤る。

 米軍ヘリが昼夜問わず、集落上空を旋回するのもここ数年、目に見えて激しくなっているという。固定翼機が海面すれすれに飛行し、ヘリが海面に急降下、急上昇する訓練も目撃されている。

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 うるま市には伊計、宮城、平安座、浜比嘉、津堅の5離島がある。石油備蓄基地があり、周辺でモズク養殖が盛んで一歩間違えれば住民を巻き込んだ大惨事になりかねない。米軍ヘリはそこも低空飛行し、津堅島海域ではパラシュート降下訓練が頻繁に行われている。

 5島9自治会は伊計自治会の沖縄防衛局への抗議に合わせ、島しょ地域での全軍用機の飛行停止などを要請する。危機感を共有しているのだ。

 米軍が抗議集会の決議に応えるよう日本政府も強く要求すべきだ。