2018年(平成30年) 5月21日

大弦小弦

[大弦小弦]保守の論客として知られる西部邁さんは「僕は沖縄の悪口を言ったことはない」…

 保守の論客として知られる西部邁さんは「僕は沖縄の悪口を言ったことはない」と話した。自称保守による沖縄ヘイトがまかり通る中、電話口の語りは新鮮に響いた

 ▼「基本的な立場は、ヤマトンチュとして申し訳ありませんと。米国に戦争で負け、土下座して沖縄を差し出してしまった。米軍には出ていってもらうべきなんだ」

 ▼作家の百田尚樹さんが沖縄で講演し、基地集中を正当化するデマを繰り返した昨年のこと。西部さんに評論を依頼して、固辞された。「彼は保守ではない。反左翼というだけ。時間がない中で、レベルの低い論争の相手をしたくない」と語った

 ▼日本の伝統に学ぶ保守の立場から、従属を恥じない「親米保守」を鋭く批判した。一方で核武装論者であり、「沖縄タイムスもそうかもしれないが、自由、平等、人権主義などときれいごとを言う人も同じように心底軽蔑している」とばっさり

 ▼西部さんは21日、亡くなった。時間がない、とはこういうことだったのだろうか。賛成できない点、浅学で理解が追い付かない点も含めて、知の塊に触れる貴重な時間を割いていただいた

▼最近は「自裁死」という表現を使っていたという。あらゆる教条や偽善を斬り、最後は自らを処断したのだろうか。その迫力と覚悟に、電話の時と同じようにただ圧倒されている。(阿部岳)

ルポ 沖縄 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実
阿部 岳
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