子どもの貧困対策を総合的に推進する県独自の計画策定に向けて、外部の有識者らでつくる検討会が計画に盛り込むべき「現場の声」をまとめた。子どもの教育や生活支援のほか、親の就労支援など必要な施策を列挙する。

 生まれ育った環境に左右されず、夢や希望を持って成長できる社会の実現を目指す「県子どもの貧困対策推進計画」は、来年度からの5年計画だ。

 日本の子どもの貧困率が過去最悪の16・3%(2012年)に達する中、沖縄の子どもたちが置かれている状況はさらに厳しく、有識者の意見からもその切実さがにじみ出る。

 貧困の連鎖を断つ力となる教育支援では、返還義務のない給付型奨学金制度の創設が叫ばれた。小中学生を対象にした無料塾は徐々に広がっているものの「その先の大学進学の道を確保しないと未来が描けない」からだ。

 県内の大学等進学率は39・8%(14年)と全国最下位。置かれた環境で受けられる学びに差が生じているとすれば問題である。

 母子世帯の割合が全国の2倍と高い県内では、ひとり親世帯の貧困問題も優先的に取り組まなければならない課題だ。

 検討会で出されたように「ひとり親世帯の県営住宅優先入居」「母子生活支援施設の設置」は、行政の積極的な対応が鍵となる。夜遅くまで親が働いているため1人で過ごしたり、居場所のない子どものための「夜の児童館」は貴重な提言である。

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 有識者検討会には、児童養護施設で育った女性、ひとり親世帯や貧困家庭を支援する団体の代表も加わり、当事者重視、現場重視の議論が展開された。その目線は、今後の計画策定の中でも大事にしてほしい。

 印象に残ったのは、児童養護施設で暮らした経験のある委員が、当事者が自己肯定感を持てるよう周囲の支えが必要と語ったことだ。

 自己肯定感は成長の原動力ともいわれ、学ぶ意欲や生きる力の土台ともなっている。

 少年非行などの背景として、自己肯定感を持てずに自暴自棄になる子どもたちの問題が語られることとも関係しているのだろう。

 家族の問題や経済的な苦しさが、子どもの自信ややる気を奪い、自己肯定感の欠落へとつながっているのであれば、それを育む支援に知恵をしぼらなければならない。

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 県は、貧困状態で暮らす子どもの割合や貧困の連鎖などを把握するための実態調査を進めている。12月には報告がまとまる。

 検討会の提言に、現状分析を重ね、子どもを貧困から守る、沖縄独自のシステムの構築に努めてもらいたい。もちろん予算的な裏付けも必要である。計画の実効性を高めるため、貧困率の改善など数値目標を示すことも重要だ。

 改正沖縄振興特別措置法には、困難を有する青少年への支援が記されている。沖縄振興策でも貧困問題に本腰を入れるべきだ。