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  • TPPが締結したら、安い外国産牛豚肉の輸入の影響を畜産業が心配
  • サトウキビ農家や製糖工場は交付金制度が維持できるかを懸念
  • 輸入品は最近値上げが続いており、消費者が得するかは分からない

 -TPP(環太平洋連携協定)って何?

県TPP対策本部会議で今後の対応などについて話し合う本部長の翁長雄志知事(中央)と各部局長ら=8日、県庁

 「国ごとに違う経済活動の規制を取り払って、人やモノ、金の移動を自由にする協定のことだよ。農産物などの関税削減に加えて投資や知的財産などの統一ルールを定め、貿易や投資を活発にして経済成長につなげる狙いで、5日に大筋合意されたんだ。日本とシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ、米国、オーストラリア(豪州)、ペルー、ベトナム、マレーシア、メキシコ、カナダの太平洋を取り囲む12カ国が参加しているよ」

 -大筋合意で何が決まったの?

 「国内の産業を保護するため、輸入品にかけている関税の多くを撤廃したり引き下げたりすることになったんだ。例えば外国産牛肉への関税は、協定発効から10年以上かけて今の税率の約4分の1に引き下げるよ。2種類ある豚肉の関税も、10年後の撤廃と引き下げが決まったんだ。他にも幅広い品目で影響が出るようだ」

 -いつからスタートするの?

 「参加12カ国はまず協定に署名して、それから締結に向けた国内の手続きに入るんだ。日本の場合は署名した後に、国会で承認するための手続きやTPPに関連する法律案の審議に入るよ。審議入りは来年春以降になる見込みで厳しい審議も予想されているんだ」

 -沖縄の農畜産業への影響は?

 「県内で影響が大きいとされているのは畜産業なんだ。米国などは牛や豚の餌に使うトウモロコシなどを自国で大規模に生産しているから、輸入に頼る日本と比べてコストが安いんだ。だから、牛肉や豚肉を日本より安く販売できるんだけど、みんなが安い外国産を買うと日本の農家が続けられなくなるから、関税をかけて外国産の価格を高くしているんだ」

 「県内の肉用牛農家の95%は、母牛が産んだ子牛を約10カ月間育てて売る『繁殖農家』だよ。その子牛を本土の『肥育農家』が買って育ててから肉にするんだ。関税引き下げで安い外国産が大量に入ったら、国産牛肉の価格も海外産に引っ張られて安くなっちゃうかもしれないね。そうなると肥育農家はもうけが無くなって、子牛を安く買わないといけなくなるから、県内農家は収入が少なくなるんじゃないかって心配しているよ」

 「県内の豚肉の農家も、安い外国産が増えることで県産の豚肉が売れなくなるんじゃないかと不安に思っているよ。外国産に負けないように、新たなブランド豚をつくるなど対策を考えている農家もいるみたいだね」

 -砂糖もTPPの対象になっているよね。沖縄のサトウキビ農家にも影響はあるのかな?

 「米国や豪州もサトウキビを生産しているんだけど、日本と比べて生産規模は桁違いに大きいんだ。だから砂糖を作る日本の会社は外国産の安い輸入糖を本来の価格より高く買って、その差額をキビ農家や製糖工場への交付金にする制度がとられているよ。TPPでこの制度は維持されるけど、チョコレート菓子などの砂糖を含んでいる『加糖調製品』の輸入量が増えるんだ。だから農家などは、将来、加糖調製品がどんどん増えて国産糖が売れなくなり、制度を維持できなくなるんじゃないかと懸念しているよ」

 -スーパーのお肉も安くなるのかな?

 「県内のスーパーなどは、関税の撤廃や引き下げで外国産が増えて値段が下がると予想しているから、TPPは消費者にとってプラスになると考えているよ。沖縄は豪州産の牛肉を使うお店が多いから、ステーキなどの値下げに期待する声もあるね。でも最近は値上がりが続いているから、安く提供できるかは分からないみたいだ」

 -政府や県は何か対策を立てているの?

 「政府は9日に設置したTPP総合対策本部で、農業分野などの対応を取りまとめていくよ。県は8日に翁長雄志知事が本部長となってTPP対策本部会議を開いたよ。情報を集めてから、県内への影響を把握して、必要な対策を立てるんだ。今後どのような対策が盛り込まれるのか注目だね」

(政経部・新垣卓也、浦崎直己)