沖縄県読谷村宇座の海岸で16日、4歳の女児と生後10カ月の男児のきょうだいが死亡した件で、嘉手納署は17日、2人を溺死させたとして、うるま市の母親(30)を殺人の疑いで逮捕した。調べに対し「一緒に死のうと思って海に入った」などと供述し容疑を認めているという。同署は無理心中を図った可能性も含め動機や経緯など詳しく調べる。

日課の散歩中に、幼子2人が亡くなった現場で立ち止まり、海岸を見詰める地元住民=17日午前9時45分ごろ、読谷村宇座

 逮捕容疑は16日午前8時45分ごろ、読谷村宇座の海岸で、長女(4)と長男(生後10カ月)を両腕に抱きかかえて一緒に海に入り、殺害した疑い。司法解剖の結果、2人に目立った外傷はなく、死因は溺死だった。

 同署によると容疑者は16日午前5時ごろ、車で子ども2人を連れて海岸を訪れ、同8時過ぎごろまで波打ち際で遊ばせていた-と供述している。

 「2人を連れて行けば死ねると思った」「海に入ったが怖くなって子どもたちを抱いて上がった」などと話したというが、遺書などは確認されていないという。

 現場は残波ビーチ南側に隣接する海岸。容疑者は「子どもが溺れた。息をしていない」などと同ビーチの監視員に通報を依頼していた。死亡した2人は護岸のスロープに服を着て水にぬれた状態であおむけに横たわっていたという。

 容疑者は当初、救急隊に「娘が転んで溺れたので息子を抱えて助けに行ったら、自分も深みにはまり息子も溺れてしまった」などと話していた。一方、地元住民らによると現場の海岸は遠浅で波は穏やか。深みにはまるような場所もないという。同署は事件・事故の両面から慎重に捜査、現場の状況や母親の供述などから殺人事件と断定した。

■周囲へ弱音 関係者「相当苦しかったのか」

 幼いきょうだい2人を溺死させたとして殺人容疑で母親(30)が逮捕された。嘉手納署によると未婚の母で、事件から一夜明けた17日、家族をよく知る関係者は「育児などで精神的に参っていた」と明かした。一方、事件現場近くの住民らは、母親逮捕の急展開に「胸が痛む。なぜこんなことに」と困惑、幼子の死を悼む声が上がった。

 母親は「2人が溺れた」などと当初話していたが、捜査関係者によると、16日夜の調べから「一緒に死のうと思った」などと自供を始めた。「申し訳ないと思っている。子どものために正直に話そうと思った」。動揺しながらも、そう語ったという。

 複数の関係者によると両親は2人とも他界し、きょうだい家族らと一緒に暮らしていた。頻繁に外出するタイプではなく、近所付き合いはほとんどなかったという。

 ある関係者は、育児に悩み電話で弱音を吐いていたことなどを振り返り「ノイローゼ気味で、精神的に参っていたとしか考えられない。自分の母親の一周忌に亡くなろうとするなんて、よほど苦しんでいたのかも…」と言葉を詰まらせた。

 一方、読谷村の海岸では、悲しく痛ましい事件の現場となった海を見詰める地元住民らの姿があった。

 散歩中の地元男性(63)は事件のあった16日の午前8時ごろ、浜辺に居た母子の姿を見たという。「あまり気に留めなかったが、こんな事件が起きるとは。母親は何を思い詰めたか分からないが胸が痛む。子どもたちが本当にかわいそう」とため息交じりに話した。