出版社の高文研(東京)が関わって34年続けてきた沖縄の戦跡・基地ツアーが今年で終わる。延べ1300人以上が参加、「観光コースでない沖縄」などの書籍もここから生まれた。最後のツアー参加者25人が17日、沖縄入りした。

コンセット病棟の展示を見学する戦跡・基地ツアー参加者=名護市・沖縄愛楽園交流会館

 最初の1981年は、沖縄大と高文研が共催。県内の教員に、本土の教育実践を紹介するのが目的だった。翌年からは本土の参加者も募り、戦跡・基地ツアーを始めた。

 ツアーの形は変わってきたが、高文研の山本邦彦さんは85年から関わり続けている。「戦跡と基地は別々ではなく、脈々とつながっていることが見えてきた」と振り返る。同じ趣旨のツアーも増えてきたとして、戦後70年の節目に終了することを決めた。

 沖縄大の新崎盛暉名誉教授は当初受け入れに奔走し、版を重ねる「観光コースでない沖縄」の主要執筆者でもある。「復帰数年後から95年までは、沖縄がヤマトから見えなくなりかけていた時代。その時に、理解の種をまく役割を果たせたのではないか」

 ツアーに参加した高校教員の主導で、80年代後半には沖縄での修学旅行が始まった。案内のため、沖縄側では平和ガイドの会(現沖縄平和ネットワーク)が発足した。

 当時を知る村上有慶さん(65)は「双方の信頼関係の中で充実した平和学習ができたが、今は旅行社任せ。今回のツアー終了も平和学習の低迷を示しているのではないか」とみる。

 最後となる今年は17日から3泊4日の日程で、名護市辺野古や南部の戦跡を回る。初日は名護市の国立ハンセン病療養所沖縄愛楽園を訪ね、弱者にとっての沖縄戦を学んだ。2回目の参加となる僧侶の三浦真智さん(63)=岐阜県=は「だいぶ様子が分かってきた。今後も、自分で沖縄を訪ねたい」と話した。(阿部岳)