渡名喜島の村営ヘリポートに不時着した米軍普天間飛行場所属のAH1Z攻撃ヘリコプターが24日午前、普天間に戻った。同島近くには出砂島射爆撃場があり、米軍ヘリは訓練していたとみられ、装填(そうてん)していたロケット訓練弾を嘉手納基地で降ろした後、普天間に帰還した。

 日本政府が要請した飛行停止を米軍は無視し、午後には同型機の飛行が確認された。

 相次ぐトラブルに小野寺五典防衛相は在日米軍の全航空機の整備点検徹底と、不時着した同型機の飛行停止を求めたばかりだった。

 この日上京した県と米軍基地を抱える26市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会(会長・翁長雄志知事)も急きょ、米軍機事故問題を要請書に盛り込んだ。政府の責任で全航空機の総点検とその間の飛行中止を米軍に実施させることなどを政権与党の自公、首相官邸、関係省庁、在日米国大使館などに求めたのだ。

 不時着は今年に入ってからすでに3回目である。

 政府と地元の軍転協がそろって飛行停止を要請したにもかかわらず、同じ日に要請を無視して、米軍が不時着した同型機を飛行させるとはどういうことなのか。

 米軍のこの姿勢を、政府が何も問題としないならば、日本は主権を行使できない「属国」というしかない。

 政府は単に申し入れるだけではなく、実効性のある再発防止策を早急に制度化させるべきだ。政府自体の本気度が試されていることを認識してもらいたい。

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 翁長知事は上京前に「米軍全体がクレージーになっている」と強く非難した。在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官が2度目の不時着時に「(米軍は)クレージーだ」と謝罪したことを引き合いに出したものだ。政府も「当事者能力がない」と強く批判した。米軍と政府の対応をみればその言葉通りである。

 昨年12月、普天間所属のCH53E大型輸送ヘリが窓を普天間第二小学校のグラウンドに落下させた。

 この事故を受け、小学校上空の飛行を「最大限可能な限り避ける」とした日米合意を米軍は破っている。

 防衛省は小学校に設置したカメラなどで上空を飛行したことを確認したと強調しているが、米軍は飛んでいないと言い張っている。

 政府と米軍は互いの主張を曲げないが、政府はうやむやに終わらせてはならない。主権国家としての姿勢が問われている。

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 安倍晋三首相は24日の衆院本会議で「県民の気持ちは十分に理解し、真摯(しんし)に受け止めている」「地域住民の安全確保は大前提であり、事件事故はあってはならない」などと答弁した。

 22日の施政方針演説では「トランプ大統領とは、電話会談を含めて20回を超える首脳会談を行った」と語り、良好な日米関係を強調した。

 両首脳がそれほどの信頼関係があるのなら、安倍首相は県民の生命と財産が脅かされている現状をトランプ大統領にはっきり伝えるべきだ。