沖縄県は21日、名護市辺野古の新基地建設で、翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しに対する沖縄防衛局の無効審査請求と、裁決までの執行停止申し立てについて、弁明書と意見書を同時に審査庁の国土交通相に発送した。翁長知事の臨時記者会見でのやりとりは次の通り。

国交省への意見書提出について会見する翁長雄志知事=21日午後、県庁

国交省への意見書提出について会見する翁長雄志知事。後ろは提出した意見書や弁明書など関連資料=21日午後、県庁

国交省への意見書提出について会見する翁長雄志知事=21日午後、県庁 国交省への意見書提出について会見する翁長雄志知事。後ろは提出した意見書や弁明書など関連資料=21日午後、県庁

【冒頭】

翁長雄志知事

 辺野古新基地建設に係る公有水面埋立承認取り消しについて、沖縄防衛局長が行った審査請求における執行停止申し立てに対する意見書及び審査請求自体に対する弁明書を、本日、審査庁である国土交通大臣あて発送した。

 国土交通大臣から意見書については明日22日、弁明書は11月16日までに提出するよう求められたが、本日その証拠書類を含めすべて整えることができたので、併せて提出することとした。

 県としては沖縄防衛局長が一般国民と同じと主張していること、「辺野古が唯一」という政府の方針が明確にされている中で同じ内閣の一員である国土交通相に対して審査請求したことは不当と考えているのでその旨を申し述べた。

 これに加えて取り消し通知書で示した取り消しの理由について、本県の基地形成の歴史や過重な基地負担の現状などを踏まえ、今回の承認取り消しが法的に正当だと詳細に主張している。

 国土交通大臣は執行停止の審査に際して、県の意見書を精査し、慎重かつ公平に判断いただきたいと思う。

 また弁明書についても、同様に県の主張をご理解の上で審査請求そのものを却下してほしい。

 今後も辺野古に新基地を造らせない公約実現に向け全力で取り組む考えである。

【一問一答】

記者 あらためて、今回弁明書と意見書の内容と、主張する内容を。

知事 先ほどの報告にもあったが、法律的な手続きの中で、行政不服審査法は一般国民の権利を守るための条文を国の一員である防衛局が私人というような形で審査請求するのはおかしいのではないかと、それが1つ。それから、それを受ける国交相が内閣の一員としてある意味で内閣は統一した見解を持っているので、訴える方と裁判官が一緒である意味からすると、地方自治のあり方やその法の趣旨を逸脱しているのではないかということを今回の件については強く感じられるので、この件はしっかり県民、国民の皆さんにも伝えたいと思います。

記者 同じ政府内で判断するということで、知事の取り消しが執行停止になる可能性が高い。あらゆる手段を尽くして新基地を造らせないというが、現時点で執行停止になったらどう対応するか。

知事 法律的な側面、今後も色々想定されるので弁護士の竹下先生から説明してもらう。

竹下弁護士 今のお話はまだ執行停止が出ているわけではございませんし、私たちとしては知事が申し上げた通り、審査請求自体が制度の趣旨を逸脱しているのではないかと考えているので、執行停止となったらどうするかは、十分なこちらの意見を整えている。執行停止が出ると考えているわけではないが、万一そういうことが出ればそれはそれでいくつか対応することは考えているが、現段階で具体的に何を取るのかは差し控えたい。

記者 執行停止が出たら県としてすぐに対応するか。

知事 これも竹下先生がお答えになったと思いますがもう一回お願いします。

竹下弁護士 仮にですね、執行停止が出たらどういう方法に取り組むかとも関連するし、それから法律的にそういう取り得る措置についての期間制限とかいろんな事があるので、それを踏まえてなおかつ、このようなことはまったく前例がないので、十分な検討をした上で行いたいですが、期間制限の問題もあってそんなに猶予があるわけではないと考えるので、その範囲内でできるだけ速やかに行いたい。

記者 岩礁破砕は意見書、弁明書を分けて提出した。今回、意見書、弁明書を同時に提出している意図は。

知事 今まさしく岩礁破砕の時に県からの指示について審査請求がなされたことは、まだ書面のやりとりが続いて裁決の見通しが立っていない。今回の埋め立て承認取り消しに関する精査請求も岩礁破砕と同様に延々と書類のやりとりが続く可能性が大きいと思っている。県は取り消しについて審査請求されること自体が不当だと考えるが、万が一執行停止が認められた場合は、迅速な裁決を求める姿勢を明確にするために国が求める書類について県の主張を全て網羅した上で提出しようということで、同時の提出となった。

記者 審査請求の制度自体が裁判に比べて簡易で迅速な救済を目指すのが趣旨。先ほどおっしゃったように岩礁破砕は時間がかかっている。知事の中では今回、2つ同時に出したことを含めて、どれくらいの時間軸で答えを出してほしいか。県のめどは

知事 私自身はそれに明解に答えるようなものはもっていない。法律という世界の中で実質的にも形式的にもいろんな事があると思うので、それに答えるのは私から答えるのはふさわしくないので、よろしければ竹下先生にお願いしたい。

竹下弁護士 難しい問題ではあるが、私たちというか沖縄県の意図としては、先ほどから言っているように、この制度を使うこと自体がおかしいのではないのかというのが前提。ただ、いつまでたっても結論が出ない状況だけは絶対に避けたい。そういうことなので、できるだけ早く審査をしてほしいという気持ちがあると同時に、今回、かなりの枚数にわたる意見書と弁明書、それに伴う証拠資料を出しているので一定期間これを精査してほしい気持ちは当然ある。それをきちんと精査してきちんと判断を出すのに時間は当然必要かと思う。

記者 聞きたかったのは執行停止のほうではなく裁決なんですが・・・

竹下弁護士 はい、裁決を含めてまったく同じです。きちんとした判断を早く出してほしいということです。

記者 仮に執行停止が認められたら、辺野古の市民運動が激化することが予想される。知事として市民運動にどういう距離感で・・・

知事 市民運動と行政、あるいは知事の立場はいろんな場面、いろんなことによって、あちこちで起ころうかと思っていますが、私の県の今主張しているありとあらゆる手段を講じて辺野古新基地は造らせないと行政として法律的な意味合いを込めてやっている。多くの市民、県民がそれをみて主体的に表現の自由といいますか、そういう形で政治にかかわるのは私からすると、どの場面からであれ自然な形ではないかと思います。いずれにしろ、県は私が特に選挙で公約したことを県政の大きな柱にしているので、それをしっかりやることで、県民からの負託に応えていきたいと思っています。

記者 先ほど審査請求、万が一執行停止となったらといったが、執行停止になれば政府側が辺野古での工事を再開して本体工事に着手する。こうした状況で、工事が進む懸念をどう思うか。そしてどういった形で知事がどう阻止するか。

知事 これも予測の話になるので、なかなかお話しできないが、いずれにしろ、先ほど申し上げたように国が私人という立場で訴えること自体が多くの県民国民から批判があるのではないかと思う。ですから、これからそういったことになった場合どうするかは、法律の問題があるので私から詳しくは説明できないが、そういうことを踏まえ、私たちは行政は行政としてしっかりと対応すると。そしてそういった過程を含めて多くの県民、国民にこの問題の本質を見てもらい、その中から私たちの意見がしっかりとご理解いただけるようがんばっていきたいと思っている。

記者 意見書5つの中で、第4意見書の基地形成過程についてという部分に160ページ割いている。公有水面埋立法の審査基準や法に書かれていることとは違うが、そこに多くを割いた意図は。

知事 松永先生お願いします。

松永弁護士 基地形成過程と法的な問題だが、これは公水法の要件でいうと、国土利用上、適正かつ合理的なること―に関わる。一つには、埋め立ての必要理由、第三者委員会の検証結果報告書の中で、抑止力、地理的優位性、一体性というものが根拠がないものだということが書かれている。沖縄の歴史を見ていくと、日本本土と比べて沖縄が地理的に有利であるという事情はまったく見出せない。かつて、海兵隊が来た時に米国内でも沖縄に来ると港もない、訓練場もない、機動性もない、しかも海兵隊は朝鮮半島に向かう時には日本本土から船がやってきて、そこから朝鮮半島に向かわなきゃいけない。まったく軍事的なことがないと言われている。

 それにも関わらず日本本土で1950年代の後半に非常に政治的な問題が激化したということで沖縄にしわ寄せ。普天間もそう。1969年に今の部隊のホームベースになった。どこにいたかというと厚木。厚木で騒音問題が起きた。1960年代後半、普天間は完全閉鎖になっていた。軍事上の理由がないということで。ところが、厚木で非常に問題が起きた、1970年に安保の期限が切れる、そこで政治問題を解決するために沖縄にやってきた。沖縄に海兵隊が移駐されるとなった当時、沖縄にいたヘリコプター4機。閉鎖されることが決まっていたんで。それが厚木がうるさいという話になり、そういったことを丹念に見ていくと、海兵隊ってのは船に乗っている。普天間にあるのは輸送機。船から陸に輸送する部隊。船がない、佐世保からずーっと船がやってきて、1年のうちの大半は船の上にいる、そんなヘリ部隊がなぜ沖縄にいるのか。それは日本本土で追い出されて沖縄にやってきた。そういうことがある。

 それから、合理性がなくこれだけの負担がかかっているということは合理性を否定すること以外の何物でもないと考えている。地理的優位性とか一体性とか抑止力が、歴史を丁寧に丹念に具体的に見ると、根拠がないということは容易に分かって頂けるという思いから、ページ数を割いて主張した。

記者 宜野湾市民が、知事の取り消しは基地の固定化を招き、生存権を侵害すると那覇地裁に取り消しの無効確認と損害賠償を求めて提訴した。基地の周りに住む県民からこのような訴訟が起きることをどう受け止めるか。

知事 昨日、上京して帰る間際に断片的に聞いた。朝刊にも載っているが訴状とか詳しいことがまったく分からないので、これについて私で申し上げることはないが、多くの市民がそれぞれの立場でそれぞれの表現、行動するのは起こりうることなので、今のところはそういう意味でそういうことがあったのか、ということで、いずれにしてももし関わることの中であったら法令に則ってしかるべき対応をしていきたいと思うが、今、中身が詳しく分からないので、これについての対応は申し上げることはできないということ。

記者 執行停止になった場合、国地方係争処理委員会、裁判所など第三者など場所を移すのが望ましいか。

知事 いくつか考えられるシミュレーションの一つだと思うので、先生方で答えてもらえますか。

竹下弁護士 今回の行政不服審査申し立てに対する沖縄県の意見はまさにそこを問題にしたわけなので、当然、正当な第三者の判断を何らかの形でどこかで委ねるというのが本来の位置だと考えているので、そのような方法を検討したいと思っている。

記者 少女暴行事件を契機にした県民大会から20年。県と国が争う構図も同じ。20年前と今で変わった点、変わらない点は何か。

知事 20年前は私も自民党県連の幹事長代理をしていたのではないかと思うが、事務方の仕事、県議会議員の玉城義和さんと超党派でやった。大田知事の少女に対して申し訳ないという言葉も明確に今、頭の中にこびりつく形で覚えているし、いろんな方々の発言も心に残っている。ああいうことがあって、あの頃20年後を想像したわけじゃないが、こうして20年経ってみると、本質的な構造はあまり変わってないなということを正直、感じている。

おそらく変わったとすると、日本を囲む世界の情勢が変わってきたんだろうとは思うが、それに向けての日本の安全保障体制とか、それを担う沖縄の問題とかまったく手つかずのまま今日まできて、残念ながら沖縄県民からすると承伏しがたい、去年の選挙でも申し上げたように日本国民全体で日本の安全保障は考え、負担してもらいたいというのが少しも進んでこなかったというようなことの中から、将来に向けて改めて基地問題が新たな基地として出現すると。国有地に変わるわけなので、沖縄県民が手の出しようのない新しい基地ができるかもしれないという、そういったものの中で物事の本質が少し新たな形で変わっていくのかなという不安もございますし、その意味ではこれまでのことを総括してこれから以降の沖縄県の子や孫が希望と勇気と誇りを持って頑張っていけるようなものを政治が頑張っていかなきゃいけないと改めて今日、10・21に関しては強く感じているところ。

記者 岩礁破砕時の意見書、弁明書からページ数増えた。3分の1を割いた第5意見書の部分を強調したいということか。

松永弁護士 国が適格がないというのはその通りだが、岩礁破砕の時には執行停止を認めた根拠が、県漁業調整規則39条1項は何も区別していないと。国や私人を区別していないと。今回大きく違うのは、公有水面埋立法は、私人がやる場合には免許、国が申請する場合には承認、制度が別。そういう意味では承認申請は私人はできない。その後の規律もいろいろ変わっている。竣工する時に認可がいるかとか、一定期間内に工事が終わらない時にそれが失効するか、罰則があるかとかいろんな点で違いがある。前回、執行停止の論理であった規則そのものが分けていないというのが、公有水面埋立法についてはまったく当たらないのが本来。

 前回は岩礁破砕について調査をさせろということだったので、埋め立て承認が適法がどうかは論点になっていなかったので、今回、この公有水面埋立承認が適法がどうかについて、適法であるということは当然であるというのが前回と全然違うところだということ。

記者 これについて国は承認と免許は形式的な違いで、手続き上の違いはないという話だが県は中身も違うという捉え方をしているか。

松永弁護士 法律上の構造が違うことが一点、知事が言われた通り、実質的に見て頂くと条約上の義務を履行するためにやっている、内閣の一員としてやっている。工事をするために日米合同委員会で合意して閣議決定を経て、防衛大臣が告示をして制限区域を設定して工事が進められている、これがどこが私人と同じなのでしょうか、まったく違うんじゃないかと。私人と同じのはまったく理解できないことだと考えている。そういう主張をしている。

記者 岩礁破砕許可を取り消すことで現地での作業をできないようにする対応も念頭にあるか。

知事 具体的な私どもが取ることがそれに合うかどうかは別として、そういうこともあっていいのではないかと思っているが、こういう形でやっていることそのものがそれを目的としてということではなく、しっかりと国民や県民が理解できるような判断が示されるようにということでやっているわけで、その結果、どういう風になるかについては、その結果が出た時に考えていきたいと思っている。