「彼もまた被害者」。凶悪事件の加害者が時にそう呼ばれることがある。当人が育った環境や時代が事件を起こすまで彼を追い込んだのだと。

映画「デトロイト」

 アメリカのデトロイトという町で1967年に起きた大暴動のさなか、あるモーテルで3人の黒人が白人警官に殺害された事件にスポットを当てた本作。この一夜の惨劇を「時代や歴史のせいにはさせない」という、キャスリン・ビグロー監督の怒りと気迫に満ちている。

 権力を持つ警察が無抵抗の黒人を殺害しても無罪判決が下る国。いまだ黒人という存在を同じ人間として実感できない国のいびつな構造を否が応でも理解できてしまう信じがたい映像の連続。中心になった警官、彼は決して被害者ではない。巨悪がデカイ顔してのたまう国のぶざまな闇をこの目に焼き付けてやった。(桜坂劇場・下地久美子)

◇同劇場で1月26日から上映予定