◆公約の財源に 渡具知氏

 「(協調できる)態勢ができていれば党本部も名護、沖縄の振興はしっかり責任持ってやりますから」

(左)街頭で支持を呼び掛ける稲嶺進氏=8日、名護市大北(右)街頭で支持を訴える渡具知武豊氏=6日、名護市内

 26日、名護市長選の応援で2度目の名護入りとなった自民党の二階俊博幹事長が渡具知武豊氏の選挙事務所を訪れ、当選の暁には地域振興に全面協力する旨を明言した。

 自民党三役が度々名護入りし、地域振興を確約して一人の首長候補を支援する-。こうした選挙風景は他の自治体では見ない。「国策のど真ん中ですから。それに見合った財政支援は当然受けるべきだ」。陣営関係者は率直に言った。

 渡具知氏は目玉政策として給食費無料化など子育て支援策を前面に出し、総予算を約10億円と見込む。渡具知氏が期待する財源の一つは、普天間飛行場の辺野古移設を含む米軍再編に協力が前提の再編交付金。名護市は新基地容認派の前市長時代、年間10億円程度の交付を受けていた。

 最大争点の新基地建設問題に対して渡具知氏は「県と国の裁判を注視する」と是非を語っていないが、陣営は工事が進んでいることも踏まえ「基地問題はすでに名護市の手を離れている」との見方を示す。

 防衛省関係者は「賛否を示さなくても交付している自治体は全国にある」とし、渡具知氏の現時点の姿勢は交付可能との認識を示す。

◆頼らず市政推進 稲嶺氏

 基地と引き換えのカネはいらない-。現職の稲嶺進氏が市政を担ってきたこの8年間、訴え続けているのは「再編交付金に頼らないまちづくり」だ。

 「憤りしかない。国のアメとムチの手法があからさまになった」。2010年12月24日、沖縄防衛局が名護市へ再編交付金を支給しない方針を伝えた際、稲嶺氏は怒りをあらわにした。辺野古新基地建設に反対しているその姿勢を戒めるような凍結措置だったが、同氏は対象事業について「いろんな制度を発掘し、予算を充てる」と前を向いた。

 その後、名護市は再編交付金事業を沖縄振興一括交付金事業に振り替え、ほかの補助金メニューを利用するなどして財源を確保してきた。稲嶺陣営は「職員のアイデアと市民の力で、再編交付金があった前市政よりも年平均で77億円の予算を増やせた」とPRしている。

 23日の総決起大会で、稲嶺氏は壇上から力を込めた。「名護市は県内自治体でも上位の安定した財政を築いた。再編交付金がなくてもできるのであれば、わざわざあんな危ない基地を持ってこなくてもいい」

 稲嶺氏を支援する翁長雄志知事も応援演説で、国が示す振興策と基地を引き換えにしてはならないと訴え、「沖縄県と名護市、子や孫の誇りのために頑張りましょう」と呼び掛けた。(名護市長選取材班)

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