自民・公明両党は消費税増税時の軽減税率導入に向け、週明けの27日から与党協議を再開し、具体策を検討する。

 政府与党は、消費税率を現行の8%から10%に引き上げる2017年4月に、同時に軽減税率を導入することを決めている。

 だが、各種団体の利害と来年の参院選を意識した与党の思惑が複雑に入り乱れ、対象品目の線引きや必要な財源の確保は容易でない。

 あらためて思い起こしたいのは「社会保障の充実」こそが消費税増税の原点だという点だ。

 税制抜本改革法は、消費税率引き上げに伴う低所得者対策として「総合合算制度の導入」「給付付き税額控除」「軽減税率の導入」を検討事項として挙げた。軽減税率を導入するのであれば、他の施策に比べどこが優れているのか、を国民に分かりやすく説明しなければならない。

 軽減税率の導入については、商工業者の事務負担が増えること、消費税の逆進性を緩和するための再分配効果が乏しいこと、全体の税収が大幅に減ること、どの品目を下げるか判断が難しいこと-などの問題点が指摘されてきた。

 麻生太郎財務相が「面倒くさいとみんな言っている」「(税金が)安くなればその分、福祉に回る金が減る」とぼやいて見せたのは、そんな声を背景にした財務省側のアドバルーンである。

 選挙目当ての駆け込み策ではなく、「低所得層への配慮」という本来の政策目的が達成できるような制度設計を目指すべきだ。

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 安倍政権は当初、2015年10月に税率を10%に引き上げる予定だった。17年4月まで延期することを決めたのは、増税による景気の落ち込みを懸念したためである。

 公明党は早くから軽減税率の導入に熱心だった。食料品など一部生活必需品の消費税率を例外的に低く抑え、「痛税感」を和らげるためだ。

 これに対し、財務省が打ち出したのは、マイナンバーカードを利用した還付ポイント制度の導入だった。対象品目を購入する際、2%分の還付ポイントを取得し、後から払い戻す仕組みだ。

 自公両党は昨年の衆院選で軽減税率の導入を共通公約に掲げており、財務省の還付ポイント制度は公約に反するとして早々と消えた。

 公明党は「酒類を除くすべての飲食料品」を対象品目とする案を提起している。そのための財源は1・3兆円。これだけの財源をどこから確保するかが大きな論点だ。

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 社会保障の財源に充てるはずの金を軽減税率に回すようなことがあってはならない。 身を切る改革によって歳出削減を進めるとともに、税制全般の見直しによって財源を捻出すべきではないか。自民党の中には段階的に対象を拡大する案や、たばこ税の値上げ案が浮上しているが、いずれも中途半端な印象が強い。

 対象品目の線引きに当たっては、なぜそのような決定をしたのか、国民の理解が得られるような納得のいく説明が必要だ。