「田舎巡りのヘボ絵師ぢやあるまいし」。夏目漱石「坊ちゃん」で主人公が絵に押す印材を売りつけられそうになったときの悪態に「ヘボ」という言葉が出てくる

▼ヘボ将棋にヘボピッチャーのように使われ、技術が劣って下手なことを示す。そんなマイナスイメージを逆手にとって技術力の低いロボットの「ヘボさ」を楽しむイベントが世界でファンを広げている。その名も「ヘボコン」

▼土俵に見立てた板の上で、互いのロボをぶつかり合わせて勝敗を決するルール。27日に糸満市で沖縄大会があり、小学生から大人まで、自慢の15台が「迷勝負」を展開した

▼材料は市販のモーターや牛乳パック、菓子の空き箱など。小学生の夏休みの工作をイメージすると分かりやすい。優秀な学生が取り組み、大会はテレビ特番にもなる「ロボコン」に出てくるのとは対極にある、低コストなロボットたち

▼スピードが出過ぎて相手より先に土俵を出たり、コントロールがきかなかったりとハプニングの連続で、会場は笑いに包まれた。子供たちの生き生きとした表情や、勝ち負けにこだわらず発想の豊かさや遊び心を、観客も一緒に楽しむ雰囲気が温かい

▼もの作りの魅力の核心がそこにある。「よし、次回大会は自分も」。工作が好きなのに、ヘボいものしか作れない筆者にも、少し勇気が湧いてきた。(玉城淳)