「市街地の(観光施設)ネオパークオキナワにパンダを誘致する。大きな観光資源として整備したい」。8日、名護市長選で3選を狙う現職の稲嶺進氏は、名護市内での政策発表の最終盤で「パンダ誘致」をアピールした。

 県内の経済関係者らを呼び掛け人に、中国から沖縄へのパンダ誘致を目指す計画がある。稲嶺氏は昨年10月末に情報が入ったとし、「実現すればぜひ名護にお願いしたいと、いち早く手を上げた。子どもに夢と希望を与える」と強調する。

 陣営関係者は「北部に年間400万人訪れる観光客を名護に呼び込める。中国へのレンタル料の数倍の経済効果がある」と見込む。

 さらに、稲嶺氏を支援する翁長雄志知事が19日の定例会見で、パンダ誘致について「可能性は高い。名護市が北部活性化のためにやりたければ、持っている情報はあげる」と「お墨付き」も与えた。

 「パンダに金をかけるぐらいなら給食費を無料化すべきだ」。稲嶺氏がパンダ誘致を示した翌々日、渡具知武豊氏が集会参加者に訴えると「そうだ!」と大きな拍手が湧き起こった。

 渡具知氏は学校給食費や保育費の無償化などで無党派層への浸透を狙う一方、稲嶺氏も給付型奨学金創設や給食費の無料化の拡充などを掲げ、両者の違いが見えづらくなっている。

 そのため稲嶺氏の政策や市政運営に対する批判を支持獲得につなげている渡具知陣営にとって今、パンダも格好の攻撃材料となっている。

 渡具知氏の「批判戦略」は支援者の間でも共有されている。「応援メモ」と書かれた文書が出回り、市政への批判事項が共有されている。「特出し事項-稲嶺“三大失政”」として(1)日ハムの名護キャンプ撤退(2)財政悪化(3)(県平均年間所得との)格差拡大-を挙げる。渡具知氏が集会や街頭で訴える内容と同じだ。

 文書では、NGワードを「辺野古移設」と明記。「辺野古の“へ”の字も言わない」「あくまでも生活への豊かさ目線で」とも強調。陣営関係者は「(辺野古NGは)徹底されているわけではないが、辺野古を語っても票は増えない」と話す。

 27日、応援で名護入りした自民党の山本一太元沖縄北方担当相も辺野古には一切触れず、最大争点は「市民の暮らしが良くなったかどうかだ」と「メモ通り」に強調した。

 この戦略に対しては稲嶺陣営が「争点隠しだ」と批判を強める。稲嶺陣営関係者は「渡具知地陣営はマスコミや青年会議所など討論会の申し込みもすべて断っている。名護市にとって最も大事な辺野古問題について語らない候補が市長になれるのか」と指摘した。

(名護市長選取材班)(おわり)

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