【新日本海新聞提供】地方で出版された優れた本に対して鳥取県民が選び、賞を贈る「地方出版文化功労賞」(実行委員会主催)の第28回表彰式が24日、鳥取市の県立図書館であった。「基地で働く-軍作業員の戦後」(沖縄タイムス中部支社編集部)が奨励賞を受賞し、沖縄タイムス編集局運動部長の磯野直さん(46)らが出席。「鳥取の地でしっかり読んで、評価してくれたことがうれしい」と喜びを語った。

地方出版文化功労賞で奨励賞の表彰を受ける沖縄タイムス編集局運動部長の磯野直記者(右)=24日、鳥取市・鳥取県立図書館

 米軍基地関連の仕事を経験した83人の証言記録の長期連載をまとめた著書は、高齢化している初期勤務者の貴重な証言を得る作業に真正面から取り組んだことなどが評価された。

 記念講演した磯野さんは「匿名でしか語られていない米軍占領下の基地従業員の話を、今こそ実名で集めたいと考えた」と連載を始めた経緯を紹介。自身や家族への報復を恐れて取材拒否する経験者が相次いだとし、「圧倒的な権力が植え付けた記憶が40年たっても語る安心を阻んでいた。83人は思い出話をしたのでなく、何かを伝えたくて話してくれた」と振り返った。

 2013年10月~14年9月の出版物から選んだ第28回はこのほか、福島県の平出美穂子さんが「古文書にみる会津藩の食文化」で奨励賞、北海道の本田良一さんが「日ロ現場史 北方領土-終わらない戦後」で特別賞を受賞した。