2018年(平成30年) 6月22日

大弦小弦

[大弦小弦]質問に答えるならゼロである。ゼロで本当によかった。「それで何人死んだんだ」…

 質問に答えるならゼロである。ゼロで本当によかった。「それで何人死んだんだ」。相次ぐ米軍機事故が衆院代表質問で取り上げられ、内閣府の松本文明副大臣がヤジを飛ばした

▼戦後73年を振り返ると答えは違う。本紙が調査できた範囲に限っても住民32人が米軍機事故の犠牲になっている。1951年、那覇市の今の国際通り近くに燃料タンクを落とした事故では4歳と2歳の幼児、父と母の一家4人全員が炎の中で命を落とした

▼位牌(いはい)を守る親戚の國場好子さん(74)は「沖縄のどこに、いつ、何が落ちてくるか分からない」と語る。事故のたびに一家を思う。そして「今回は誰も死ななくてよかった」と安堵(あんど)する

▼「誰も死ななかったからいいだろう」というのが松本氏の発想。言葉だけは似ているが、道理も人間性もない。米軍機が訓練する空の下で暮らす県民の生と死を、安全地帯にいる政府高官が言葉でもてあそんだ

▼安倍政権は即座に松本氏を更迭した。いつも名護市長選があったら、いつも県民の気持ちを尊重してくれるだろうか。渡名喜村のヘリ不時着事故でも、珍しく同型機の飛行停止を米軍に要求した

▼米軍は一切耳を貸さない。選挙向けのポーズだと見透かされているのかもしれない。県民の命は政局の取引材料ではない。政府が真剣かどうかは、選挙後に分かる。(阿部岳)

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