南北106キロの沖縄本島に、まるで引力作用のように海外8カ国から空手家がやって来た。10月上旬に県立武道館で行われた国際空手セミナー。11歳から70歳すぎまで、志を共にした情熱家たちだ。いかに沖縄が空手の発祥地として知られているか、今回それを心身共に実感した。

沖縄で開催された国際空手セミナーに参加したメンバーら=県立武道館

 空手家たちは大半が米国からだが、東と西ドイツ、メキシコ、フィリピン、キューバ、南アフリカ、英国から集まった。剛柔流の始祖、東恩納寛量氏の没後100年記念のイベントとして行われたが、他の流派からも参加。40人の空手家と同伴した婦人、関係者を含め45人。私の役割はセミナー時の通訳だった。戦跡回りの観光や那覇大綱挽(ひき)にも同伴した。

 歓迎会では、名桜大学のエイサー団体がパワフルに「カリー」をつけ、新垣和子先生が「ないふぁんち」の型を演武。国際沖縄剛柔空手道連盟最高師範の東恩納盛男氏、国際沖縄少林流聖武館空手道連盟会の会長で英和バイリンガルの島袋善保氏、沖縄小林流空手・古武道連盟会長および那覇大綱挽保存会会長の比嘉稔氏、その他数人の空手師範らが出席した。

 東恩納盛男先生は剛柔流の元祖や歴史、東恩納寛量先生の人間像についてスピーチし注目を浴びた。セミナーは、半世紀以上も外国住まいのウチナーンチュの私には、誇り高き心境に駆り立てられた。

 セミナーは5日間続いた。沖縄の流派の異なる師範たちが10人交代で指導した。外国の空手家たちを受け入れ、沖縄でコーディネーターとしてバイリンガルで活躍しているのは、沖縄市松本出身の少林流、上原邦男先生。外国側のコーディネーターは英国出身でカリフォルニア在住のデイヴィッド・チャンバースさん(70)。2009年から空手家を沖縄へ案内し、沖縄の伝統文化・観光を推進している。

 東ドイツ出身のニコ・フェレデンバーグさん(19)は、空手を始めた動機を「小学2年のときに学校で空手の宣伝ビラを見た。太り気味だった僕はすぐ興味を抱き、母もサポートしてくれた」と説明。「剛柔流を続けて初段を得た。重量挙げにも興味があり、来年はその件も兼ねて来沖する計画」と話した。

 大半が沖縄は初めての旅行。米国ジョージア州で大規模な道場で剛柔流を指導しているミッキー・ブロック先生は今回が21回目の空手旅行。東沿岸のメリーランド州で300人の弟子を指導しているトニー・フェラー先生は参加者たちの間で人気者だった。

 米国ミズーリ州のモーガン・ジョンソンさん(11)は4歳から空手を始めた。青い瞳を輝かせ笑みを浮かべながら、大人たちと5日間の空手セミナーを見事修了。同伴の先生にその業績を認められ、ジュニア黒帯を獲得。セミナーに対する彼女のひたむきな態度は高く評価された。「学校へ戻ったら空手、沖縄観光を紹介する」と語った。

 書道家でもある剛柔流範士の當山全秋氏はスポーツ空手と沖縄伝統の空手道を書道に例えた。「書道の楷書と草書は、スポーツ空手と伝統空手のようだ」と説明し、彼独特の空手の原理と哲学を強調した。受講者たちは伝統空手の奥深さに再びうなずいた。(てい子与那覇トゥーシー通信員)